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fairyLOVEstory
天界と地界編
第75章 普通になりたい

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「悪美。お前、正直に言いなさい。」
「何を?」
「お前。魔族をやめたいんだろう?」
突然そんな話をされて私は驚いた。確かに私は普通の人間になりたかった。でも、もうそれは叶わぬ夢として諦めていたのだ。
「何で、今頃・・・」
私はそう父に問いかけた。
「幸せになってほしくてな。」
父親らしい思いであった。
「出来るなら・・・」
私は少し嬉しかった。しかし、
「魔を封じ込めるには色々な条件がある。」
どんな条件かは知らなかった。
「まずは、二度とパパには会えないということ。そして、魔を封じ込めるには熊人形等を含む姿ではないと封じ込められないということ。」
とても、辛い条件だった。でも、熊人形の姿に関しては最初は嫌だったけど、皆が可愛がってくれたりするおかげで嫌ではなかった。更に言うと
「メルヘンじゃない。ぬいぐるみと結婚なんてw」と、正一も言ってくれている。
私は決心をした。パパに会えなくなるのは寂しいけど魔を封じ込める貰うことにした。この姿で人生を歩むことを決めた。何故かって。それは、私が憧れていた平和な自分に慣れるからであった。
「早く私を楽にして。このまま魔を封じ込めて。悪さ出来ないように。」そう、父にお願いをした。父は悲しそうな顔をして
「本当に良いんだな。」と、確認した。
私は「うん。」と答えた。
「人間には一生戻れないが、それでも良いか?」と、もう一度確認した。
私は「はい。」と答えた。
「わかった。ぬいぐるみにしてやる。」
そう、言葉を残し、縁魔は今までに使ったこともない魔法を使った。自分の出せる魔力を全て娘のために振り絞って。


悪美は実感はわからなかったが魔を封じ込めることは成功した。悪美は魔精という姓を捨て、高井となった。正一は
(こういう運命だったのか。)
と、自分に言い聞かせるしかなかった。
悪美の手ではもう魔法は使えない。悪美の魔力は全て自分自身にかけたのだ。
魔族の魔法は、人の絶望と悲しみ、苦しみの塊である。その全てを悪美自身にかけたのだ。そのため、悪美はもう元の姿に戻れないという苦しみと父に会うことの出来ない悲しみが降り注いでしまったのである。

悪美は熊人形の姿で今後は魔法学を研究することにした。悪美にはもう、これ以上の恐ろしいことが降り注ぐことがなくなったのだ。そして、正一にこう言った。
「貴方に会った日にも言ったように総ての魔を私が絶えるからね。」
そして、父親には
「パパ。ラストのお願いがあるの。」と、言った。一体悪美の最後のお願いとはなんなのか、次回に続く。
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