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魔術師ルー&ヴィー
第一章
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 その夜のこと。
 ルーファスとヴィルベルトは月明かりの中、街外れの大聖堂へと赴いていた。
 今や来訪者も途絶えた大聖堂に灯りはなく、月明かりがあるとはいえ心許ない明るさであった。
「光よ、ここに集いて闇を照らせ。」
 その中でルーファスがそう唱えると、目の前に輝く球体が現れた。小さいながらも、それは二人の足下を照らすには十分な光で、それはルーファスの意思通りに先を照らした。
「ヴィー、お前もそろそろこれくらい出来ないとなぁ…。」
「師匠…。光の魔術って、中級以上の力がないとダメじゃないですか…。僕は半年前から始めたばかりですよ…。」
 ヴィルベルトはそう言ってルーファスを見ると、ルーファスはニッと笑って返した。
「そんなん、遣ってみなくちゃ分からねぇじゃねぇかよ。ほれ、遣ってみろ。」
「え…!?」
 そう言われたヴィルベルトは、渋々ながらも意識を集中させながら言った。
「光よ、ここに集いて闇を照らせ。」
 すると…

- ポンッ! -

 と、妙な音はしたものの、光は全く出てこない。空振りである。
「ブフッ!」
 それを見たルーファスは、さも可笑しげに吹き出し、そのルーファスを見たヴィルベルトは半眼になって言った。
「師匠…暇潰しに遊んでますね?」
「え?いやいや、これも立派な…グフッ!」
 それでも吹き出すルーファス。
 すると、ヴィルベルトはそんな師匠へとニッコリと微笑んで言った。
「師匠、いつまで笑ってられますか?」
 そのヴィルベルトの顔を見たルーファスは一瞬にして真顔に戻り、少し咳払いをしてから真面目に言った。
「さて、中に入ろうか。」
 ヴィルベルトは本気で怒るとかなり怖い。出会ったばかりの頃には本気で怒り、魔力を暴走させてとある伯爵の館を丸ごと破壊したこともある。
 まぁ、その力を見てルーファスは彼を弟子にしたのだが、そんなルーファスでさえ、暴走したヴィルベルトを止められないのだ。だったら揶揄わなければ良いのだが、どうも弟が出来たようで嬉しいらしく、こうして揶揄っては楽しんでいるのだった。
 さて、二人は細やかな光を頼りに大聖堂へと入ると、そこにはただ闇が佇むだけであった。
 大神官が健在であった頃は来訪者も多かったであろう場所だが、今では埃まみれになっており、人が潜入した形跡さえなかった。
「誰かが入って…と言うわけでは無さそうですね。」
「そうだな。銀の燭台なんかの高価な物品さえ手がつけられてねぇからな。ってことはだ。誰か潜入してその影を見た…とは考えられねぇってことだ。」
 二人がそう言いつつ注意深く見回って時、祭壇近くから微かな物音が聞こえてきたため、二人はギョッとしてそちらへと視線を向けた。だが、そこにはこれといって変わった様子は見て取れず、恐らくは小さ
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