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ハナビラ
アンズ〜星空凛〜その2
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込んでいる。
別にそういうわけじゃない。ただ、凛と旅行に来ているのが不思議とわくわくしているだけ。
そして、いつか僕の前からいなくなってしまうんじゃないか、という虚無感に襲われただけ。





「大丈夫だよ、凛はどこにも行かないから。ようへー君と一緒にいるよ」





僕の心を見透かしての発言なのだろうか。
かといってそういう素振りも無く、『僕がそう思ってるかもしれない』という予想で、そう言ったのだろう。


「じゃあそうだ!!凛と約束しようよ!凛は.....ようへー君の事を見捨てなよ。凛を"友達だと思ってくれる限り"は!だから凛とずっと一緒にいよう!」




きっとあの時から決まっていた。僕らの友情も、絆も、あの瞬間から。
僕が過ごしてきた全てが、君との時間。













「ほぇ〜、凄い。とっても広い部屋なんだね〜!久しぶりの旅行だし、ゆっくりしていこーっと!」


 旅館について早々、大はしゃぎで部屋の中をぐるぐると歩き回る凛くん。
それはまるで幼い少年の行動そのもので、思わず笑みがこぼれてしまった。


「ようへー君も、いつも疲れている顔しているから、今日ぐらいはゆっくり過ごして癒されていくといいよ!頑張ってるし!うん!」

 と、何故か本人でない彼がとても嬉しそうに襖を開けて外を眺めるものだから、なんとなく僕もそれにつられて外の景色を眺める。


 旅行雑誌に載せられていたとおり、夏は新緑の隙間からみせる太陽の光と小川のせせらぎがとても絶景で、その上露天風呂もある。良い旅館に来たな、と思った僕は『温泉に入ろうよ』と凛くんに声をかけた。

「あっ……う、うん。そうだね。せっかくの温泉旅行だし、入らないと勿体ないよね」

 今まで元気だった彼の様子が急変し、表情を暗くさせて、さらには言葉もまごつき始めた。
温泉旅行に誘ったのは凛くんなのにどうしたのだろうか、と疑問に思う。そもそも温泉が苦手なら誘うはずもないし、もしかすると、裸を見せるのが嫌(・・・・・・・・)なのかもしれない。

 そういう男子もいるだろう。中学、高校の修学旅行の入浴時間でも、最低一人はそういう男子もいたもんだ。凛くんも、さしあたりその男子の一人なのだろう。


「でも、いいよ。凛は後からゆっくり入るから気にしないで?大丈夫だって」




結局、彼は温泉に入ろうとはしなかった。








────それで、僕は予感がした。



 今までの彼の行動、言葉、声色。最初こそ何も疑問に思わなかったけど、次第に不信感を抱いている自分がいることに気が付いていた。
 だけど、今まで凛くんと築き上げた関係を壊
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