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レーヴァティン
第十話 巨人その三

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「神だとすればだ」
「俺達がこの世界を救える奴等じゃなくなったらか」
「滅ぼされるかもな」
「天狗になったりしたらか」
「そうなるかも知れない」
「そういうものか」
「そう考えると俺達の世界も同じだな」
 プラトンの書に書いてあるという言葉を思い出しつつの言葉だ。
「傲慢になればだ」
「それで滅ぼされるか」
「そもそも魔神を倒してもいないのに天狗になる様ではな」
「どうにもならないな」
「そうなる」
「やっぱりそうか、まあ天狗にならずにな」
「やっていくことだ」
 そうすべきだとだ、英雄は久志に言った。
「力を手に入れてもな」
「目的を果たしてもいないうちにそうなってもか」
「どうにもならない」
「やっぱりそうだよな」
「そう思うと二つの島はアトランティスとムーでだ」
「俺達もか」
「そうなる」
 人ではあるがというのだ。
「そう思うと俺達の世界と同じだな、この世界は」
「そしてアトランティスとムーか」
「世界の方が逆に最初は沈んでいるが」
「同じっていえば同じだな」
「そうだな、そしてだ」
「ああ、同じとばかりは限らないな」
 こう言ってだ、久志も英雄もだった。
 即座にそれぞれの武器を抜いた、そうしてだった。
 前から来たモンスター、人の顔と獅子の身体に先がパイクになった尾と蝙蝠の翼を持つそれを見た。そのモンスターの歯は三列だ。
 獣のその歯を持つモンスターを見てだ、久志は言った。
「マンティコアだったな」
「そうだ」
 英雄もその通りだと答えた。
「かなり強い筈だ」
「だよな、一目でわかるぜ」
 久志は不気味な咆哮をあげるその獣を見つつ英雄に応えた。
「三列の歯といい尻尾といいな」
「あの尾には注意しろ」
 人間のものだが血に餓えた獣そのもの顔を見つつ言う、髪の毛の薄い老人のその顔は実に禍々しいものだ。
「いいな」
「あれで叩いてくるか」
「しかもだ」
 叩くだけでなく、というのだ。
「あの尾には確か毒がありだ、針も飛ばせる」
「おいおい、あれをか」
「飛ばそうと思えばな」
「随分ととんでもない奴だな」
「そこまでは知らなかったか」
「知ってるっていってもゲームのモンスターでな」
 その範疇でのことでとだ、久志は応えた。
「それ以上はな」
「知らなかったか」
「ああ、どうもな」
「それでか」
「そこまでは知らなかったさ」
 尾のことまではというのだ。
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