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大淀パソコンスクール
少しは妹を見習ったらどうだ?

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と、大淀さんは自分の席に戻り、パソコンをまたパチパチと叩き始めた。彼女が席に戻ったのを確認したあと、俺は教室に入る。すでに教室では、神通さんをはじめとした生徒さん総勢5名が、2名と3名で二つの島に別れて座っていた。

「カシワギ、大淀から聞いたと思うが……」
「わかっています。どこまで出来るか分かりませんが、他の生徒さんは、できるだけ俺が見るようにしますから」
「頼もしくなったな。まるで空に浮かび俺を見守り暖かく照らす、たいよ」
「さっさと授業をはじめましょうよソラール先輩」
「貴公……」

 かくして、神通さんにとっての、はじめてのパソコンの授業が幕を開ける。俺はソラール先輩が神通さんの授業にできるだけ集中出来るよう、他の生徒さんを一人で見なければならない。加えて、ソラール先輩の説明の仕方を見学出来るいい機会だ。その意味でも、今回の授業は気合を入れて行わなければ……。

「ちなみに神通殿、職場でExcelを触ったことは?」
「文章の入力だけはできています。でも、表計算が出来るようになって欲しいと、職場からは言われています」
「なるほど」
「加えて、データベースとしての活用方法や、分析のためのグラフ作成なんかも出来るようになるとなお良いと」
「承知した。すでに触ったことがあるのなら話は早い。一日も早く習得出来るよう、俺も努力しよう」
「ありがとうございます」

 ……あれ、いつものように『太陽のようだ』とか『太陽のように』て感じで、強引に太陽で話を締めてこないな……さすがにはじめての授業では、そんなだいそれたことはしないのかな?

「礼はいらない。それが太陽の戦士たる、俺の使命ッ……!!」

 あー……そうでもなかったわ。のっけからソラール節全開だわこりゃ。確かに今日も、全身太陽の鎧兜着てるし、お日様マークの盾も背中に背負ってるし、あの剣もちゃんと鞘に入れて持ってきてるしな……おまけにわざわざ椅子から立ち上がって、気持ちよさそうにY字ポーズで上に伸びて……いつものソラール先輩だわこりゃ。

「とてもありがたいお言葉ですね。頼もしいです」

 それに対する神通さんの返答がこれだ。あざ笑いもせず、戸惑いもせず、ただただ尊敬する人物に向ける、真っ直ぐな眼差し……うん。とっても物静かでおしとやかな人格者みたいだけど、今この瞬間、神通さんが、あのアホの妹だということに納得できた。変な人だという意味ではない。多分、生まれたその日から、ずっとあのアホの相手をしてきたから、ソラール先輩みたいな変人の相手の仕方を心得てるんだろう。

 そんなこんなで、ソラール先輩と神通さんの、一見至極健全なExcel講座が、幕を開けた。

「セルに計算式を入力する場合は、まずExcelに『これは計算式だよ』ということを理解させ、太陽の
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