暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
何でも太陽と夜戦で片付けようとするのはやめろ

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だから夜戦じゃないと言っとるだろう……では大淀さん、はじめますね」
「はい。頑張って下さい」

 席を立ち、事前に準備しておいたWordのテキストを持って、川内を教室へと案内する。俺の隣でキラッキラに瞳を輝かせている川内は、昨日と同じ席に自ら座った。

「今日もここでいい?」
「いいぞー。どうせこの時間は川内ひとりだしな」
「サシで夜戦だね!」
「だから勝負じゃないっつーに」

 体中でウキウキを表現している川内の左隣りに座り、パソコンの電源を入れる。ブートローダーが立ち上がったら8.1のOSを選択し、立ち上がるまでの間は、昨日のように手持ち無沙汰解消兼、インタビューだ。

「さて川内。今日から本格的にタイピングとWordに入るわけだが……」
「了解! でもさでもさ」
「ん?」
「『たいぴんぐ』ってのはキーボードで文字を入力することだって分かるけど、『わーど』ってなに?」

 お前はWordを覚えたくて通ってるんじゃないんかい……。

「……要はワープロソフトだ。こいつの使い方を覚えておけば、プリントや書類の作成はもちろん、はがきやポストカード、名刺なんかもお手軽に作ることが出来るようになる」

 ここの教室では、特に希望が無い限り、一通りパソコンのイロハを学んだらまずWordを教えるカリキュラムになっている。Wordのような書類作成には、いわゆるパソコンを扱う上で大切な操作がたくさん詰まっているそうだ。それを無意識のうちに学んでもらうためにも、まずWordから入るのはとても都合がいいらしい。

 おまけに、Wordを習っていれば、必然的にタイピングの練習にもなる。その上でも、進路の希望がなければまずはWordから……というカリキュラムは、間違ってないわけだ。

「というわけで、まずはWordでプリントやら書類やらをバシバシ作って、タイピングとパソコン操作に慣れてもらおうというわけだ。一通り使えるようになってる頃には、川内も太陽のせ……ゲフン。いっぱしのパソコン使いになってると思うぞ」
「なるほど! つまり主砲みたいなものだね!!」

 でたよ……また意味不明な比喩表現が来たよ……

「しゅほ……なんだって?」
「だってさー。パソコン操作の基礎がいっぱい詰まってるんでしょ? 艦隊戦じゃ主砲がすべての基本だよ?」
「はいそうです。その通りですよく出来ました川内さん」
「やったぁああああああ!!!」

 まさか俺の投げやりな肯定に、ここまで嬉しそうなリアクションをしてくれるとは思ってなかった……満面の笑みで両手でバンザイして大喜びしている川内の姿に、俺はほんの少しだけ罪悪感を覚えた。1秒後に消えたけど。

 そうこうしているうちにパソコンが立ち上がる。川内にスタートボタンをクリックさせ、W
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