暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十三話 帝国領侵攻
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
宇宙暦 795年 1月 3日  ハイネセン   エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



「なるほど、お二人が親しくなったのでロボス元帥が弾き出された……。そういう事ですか、トリューニヒト委員長?」
「酷い言い方をするね、君は」
俺の言葉にトリューニヒト苦笑を漏らした。どんな言い方をしても事実は変わらないだろうが。

「これでも分かりやすく力学的な言い方をしたつもりですが、御気に召しませんでしたか」
俺はにっこり笑ってサンドイッチをつまんだ。卵サンドだ、なかなかいける。腹が減っていると人間、攻撃的になるな。

トリューニヒトもサンドイッチをつまんだ。そしてワインを一口飲む。シトレは無言だ。ただ黙って食べているが口元には笑みが有る。食えない親父だ。だんだんこいつが嫌いになってきた。いや、元から嫌いだったか……。

「彼には正直失望した。あの情報漏洩事件を個人的な野心のために利用しようとしたのだ。あの事件の危険性を全く分かっていなかった」
トリューニヒトが首を振っている。ワインの不味さを嘆いている感じだな。シトレが顔を顰めた。つまりシトレにも関わりが有る……。

ロボスはあの事件をシトレの追い落としのために利用しようとしたという事か。何をした? まさかとは思うが警察と通じたか? 俺が疑問に思っているとトリューニヒトが言葉を続けた。

「自分の野心を果たそうとするのは結構だが、せめて国家の利益を優先するぐらいの節度は持って欲しいよ。そうじゃないかね、准将」
節度なんて持ってんのか、お前が。持っているのは変節度だろう。

しかし国家の利益という事は単純にトリューニヒトの所に駆け込んでこの件でシトレに責任を取らせ自分を統合作戦本部長にと言ったわけではないな。警察と裏で通じた……、一つ間違えば軍を叩きだされるだろう。となると捜査妨害、そんなところか……。

「節度がどうかは分かりませんが、国家の利益を図りつつ自分の野心も果たす。上に立とうとするならその程度の器量は欲しいですね」
「全くだ。その点君は違う。あの時私達を助けてくれたからね。国家の危機を放置しなかった。大したものだと思ったよ」

突き落としたのも俺だけどね。大笑いだったな、全員あの件で地獄を見ただろう。訳もなく人を疑うからだ、少しは反省しろ。まあ俺も痛い目を見たけどな。俺はもう一度笑みを浮かべてサンドイッチをつまんだ。今度はハムサンドだ。マスタードが結構効いてる。

「ロボス元帥に呆れている時にシトレ元帥と親しくなれたのだ。君ならどうするかね」
俺を試してどうするつもりだ、トリューニヒト。弟子にでもするつもりか。
「ロボス元帥は道具として使いますね、手を組むならシトレ元帥でしょう」

ウシガエルは使い勝手が悪くなればいつでも切り捨てる。道具とは本来そ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ