暁 〜小説投稿サイト〜
その日はいつかやって来る
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「じゃあ、ベスパが起きる前に最後の仕事だ」

「今度は何をするつもりだ?」

「今のままだったら、帰る道が無いだろ」

 そうだ、確かに帰り道は無くなっている。 地球その物が動いてしまったので、アクセスポイントを再構築しなければならない。 これは大変な作業だ。

「アクセスポイントの修復開始」

『了解、乱れた言葉を再び一つに!』

 何か簡単な事のように言われてしまったが、これも人間だった頃の建設の賜物なのだろう。

 再び軌道リングが作動し、新しい地脈に沿ってアクセスポイントが作られて行く。 バベルの塔が逆なら、その効果も逆。 そうか、この地表に書かれた紋様にはこんな意味があったのか。

『不寛容と、偏見と、独善を消し、新たな秩序を。 聖なるマリアの名の元に!』

 宗教、思想、言語、人種、全ての混乱の元が一つの聖女によって統一されて行く。 余りに当然の事で、人間達も忘れているだろうが、今も子供を育て、教育しているのは全てマリア型アンドロイドだ。

 世界中で母として存在し、男なら一度は恋をして、永遠にその面影を追い続ける。 女でも、母として、理想の女性像として、その姿を真似る。

 既に数世代前から、人間はマリアの名の元に、思想も教育も統制されていたのだ。 そしてこれからは、マリアの亜種、隊長とグレートマザーに支配を受ける事になる。

 それは人間にとって、決して不快な物では無いだろう。 ここにいる「羊飼い」は、この世を去る事になるが…

『ヒトの時間に終わりを、宇宙に撒かれた新たな種に祝福あれ』

 今は我々のために、人間の幸福と快楽のみが収穫されている。 以前のこいつの尽力で、この世には飢餓も貧困も存在しないのだから。

 皮肉な物だ。 神の救世主により支配された時代には、人口の増加や大規模な発展と共に、戦争と飢餓と疫病。 つまり、神が必要とする穢れが収穫され、魔族側の救世主であるアシュタロスが悪しき者達を連れ、その快楽を一身に背負って旅立った後、こいつにより与えられた秩序の元では、豊かさが与えられ、人口の減少と文明の衰退が始まった。

 アシュタロス事件以降、「人間」は減少の一途を辿っている。 人は永遠の命を求め、機械となってプログラムと化し、残った者もマリアに恋をして、永遠の愛を誓った者達は、迫害を逃れて月に登り、同じ機械となって外惑星に向かった。 こうして人類が自然に旅立って行くなら、人間と地球はその役割を終えた事になるだろう。

『機能を失ったマリア達の魂を回収します』

 先日の事故でも、マリアの残骸を持って修理を懇願した者には、いつものように「ドクターカオスの弟子」から知らせがあり、命も財産も投げ打つ覚悟があるなら、「最愛の人」が戻されるのだろう。

 マリアと
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