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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの夜
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バトルタワーでの戦いを終え、ジェムとダイバは直通のエレベーターに乗って一番下まで降りるようにエメラルドに命じられた。アマノがどうなったのかジェムは問いただそうとしたが、エメラルドは降りればわかると笑って言うだけだった。ダイバも同じ意思らしく、ジェムはダイバを信じて従うのだった。
 エレベーターを使ってもこのバトルタワーは高く一番下までは時間がかかる。ゆっくりと下降していくエレベーターの中で、ジェムは自分のポケモン達に話しかける。

「まずはお疲れ様、キュキュにラティ。とっても良く頑張ってくれたわ!」
「こぉん」
「ひゅん!」

 戦いが終わり、レックウザが去った後メタグロスと分離したラティアスと、元気を取り戻したキュウコンが仲良く返事をする。このバトルタワーではルール上登録した二体しか出せなかったのですごく負担をかけてしまった。回復はさせたとはいえ疲れは残っているはずだが自分のために笑ってくれる仲間にジェムも微笑む。

「それとね、他のみんなもありがとう。皆が私を見守ってくれるから、私頑張れたよ」

 帰ってくるそれぞれの返事。今はまだバトルタワーの中だからボールから出せないけれど、ここから出たら思いっきり抱きしめてたり撫でてもらったりしようと決めるジェム。

「……」

 ジェムがそうしている間、ダイバはなんだか心ここにあらずと言った感じでぼんやりしている。彼が無口なのはいつも通りだが、本当に突っ立っているだけで動かない。仲間たちとのお喋りを終えたジェムは声をかけてみる。

「ダイバ君……大丈夫? 疲れた?」
「……」
「ダイバ君!」
「……え、何?」

 大声で呼んでようやく気付く。こちらを振り向いたダイバの顔は赤らんでいた。そしてそのことを自覚しているわけでもないようだった。フードで顔を隠そうともしていないからだ。

「なんだかぼーっとしてたけど、考え事? アマノさんの事とか?」
「いや……違う、そういうのじゃない。特に何か考えてたわけじゃなくて……さっきのパパとのバトルを思い出してただけ」
「そっか、すごいバトルだったもんね。ポケモン同士が合体できるなんて思ったこともなかったわ」
「それもだけど……よくわからない。ポケモンバトルに勝つことなんて当たり前の事なのに、頭の中をぐるぐる回ってて……」

 本気で不思議そうに首を傾げるダイバ。ジェムも少し考えたが、すぐに意味を理解する。

「あ、わかったわ。ダイバ君はエメラルドさんに勝てて嬉しかったのね! それはそうよね、あんなすごいお父様に勝てたんだから!」
「嬉しい……僕が、バトルに勝って……?」
「ダイバ君には……あまりよくわからない?」

 ダイバは無言で頷く。でも、それは仕方ないかもし
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