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ドリトル先生と悩める画家
第三幕その十

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「先生にしても」
「紳士ではあるけれどね」
「かなり変わった人だね」
「考えてみれば」
「僕達や王子やトミーがいないとどうなるかわからない」
「そんなところもあるしね」
「生活力は本当に心配になるから」
 とにかく家事が全く出来ないからです、何とパソコンは出来ても洗濯機もコンロも冷暖房も使えないのですから。
「変わった人だよ、先生も」
「それもかなりね」
「むしろ太田さんはかなり普通だよね」
「先生と比べたら」
「いや、そう言われるとね」
 先生はそんな皆の言葉に困ったお顔で返しました。
「僕も困るよ」
「けれど実際にだよ」
「先生変わってるよ」
「本当に太田さんよりもね」
「ずっとね」
「困ったな、けれど太田君はね」
 先生は皆の指摘に困りつつ太田さんのことを思うのでした。
「好青年だね」
「ええ、どう見てもね」
「礼儀正しくて身なりもしっかりとしている」
「そんな人だね」
「奇抜なところもない」
「そうした人だね」
「いい学生さんだね」
 こうも言った先生でした。
「正直ダリみたいな奇抜な人だったりベートーベンみたいな人だったら僕も困ってたよ」
「ベートーベンってかなり凄い性格だったっていうからね」
「尊大で頑迷で気難しくて癇癪持ちで」
「物凄く敵が多かったらしいね」
「そのせいでお友達も少なくね」
「親戚や家族にも恵まれなくて」
「恋愛も実らなくて」
「孤独だったらしいね」
「耳のせいもあったけれど凄く付き合いにくい人だったみたいだね」
 先生は残念そうに言いました。
「実際にね」
「だから先生でもだね」
「ベートーベンさんとは付き合えないかも」
「そうだっていうんだ」
「うん、偉大な音楽家だけれどね」
 このことは事実にしてもというのです。
「人間としてはね」
「凄くだね」
「お付き合いしにくい」
「そんな人だったんだね」
「素晴らしいものを沢山持っていたことは間違いないんだ」
 ベートーベンという人はです。
「清廉潔白で完璧主義者で理想が高くてね」
「悪い人ではなかったんだね」
「別に」
「そうだよ、悪意のある人じゃなかったんだ」
 このことは間違いないというのです。
「けれど本当にね」
「お付き合いのしにくい人で」
「そのせいで孤独だったんだね」
「悪意ある人でなくても」
「そうだったんだ」
「うん、だから可哀想な人ではあったんだ」
 先生が見るベートーベンはです。
「だから結婚も出来なかったしね」
「孤独だったんだね」
「ずっと」
「そうだよ、孤独で寂しい人だったんだ」
 また言った先生でした。
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