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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第63話 二妻多夫? 三妻多夫?
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「…………」

 ゆかりは、俯かせて ひたすら走っていた。
 後ろには誰も追いかけてきてはいないが、それでもただただ走り続けていた。


 そして、周囲には誰もいないと言うのに、声が聞こえてきた。それは、頭の中 心の中の罵声だった。


『11歳だってあのコ………』


 それは 今まで積み重なっていた周囲の声。


『生意気だよねー 何であんな子供と一緒なクラスなわけ??』


 何度も何度も耳を塞ごうとしても聞こえてくる声。


『汚らわしい魔女の格好して』


 それは、数えきれない差別の声。
 ただ、魔女として生まれただけで 自分には一切の非が無いというのに 何度も聞こえてくる。


『魔女って妖怪じゃないだろ? っつーことは 人間に近いよな? この学園にいる資格ないよ。 お前……、やめてくれよ』


 頭の中をいつまでも巡っている。

 それでも、弱い所は見せたくなかった。
 まだまだ子供だから、と言う事もあるだろう。

 つい……強がってしまうのだ。


「1人ぼっち…… 平気だもん」


 と、心にもない事を、自分の心の悲鳴に反して強がりを続けてしまう。そして 亡霊の様に付きまとう声を振り払おうとする。

 そのせいもあってか、目の前に立ちはだかっている男に気付かず勢いよくぶつかってゆかりは倒れてしまった。
 

「きゃっ! いったぁ〜〜バカっ 何処見て歩いてるんですか〜〜っ!!」


 ゆかりは、涙を拭いながら叫んでいた。そう、この涙は痛みのせい。そのせいで涙が出ていると誤魔化しながら。


 だが、今回はぶつかった相手が悪かった。


「ぶつかってきたのはそっちでしょ。ゆかりさん…… この礼儀も知らん学園の恥さらしめ」


 それは、ゆかりの事を目の仇にし続ける委員長だった。

 今回ばかりは、いつものいやがらせのレベルを遥かに超えている。ゆかりを見るのは強い悪意のの籠った眼。そしてその周囲には数名の仲間。


「っ!! ………委員長!」

 思わず表情が強張ってしまうゆかり。
 委員長はそのままゆっくりとゆかりに近づいた。

「……この前 君に公衆の面前で恥をかかされましたよねぇ? 私はゆるしていませんよ」

 そう言うと委員長は、人間の姿をゆっくりと変えた。

 顔の半分ほど解いた所で、長い舌をベロりと剥き出し卑しく笑う。

「きみが1人(・・)になるのを待ってたんですよォ……」

 そう言うと、嫌がるゆかりの腕を掴み強引に学園の外へと連れ去っていくのだった。









 そんな時、部室ではまだ言い争いが続いていた。
 いや、言い争いと言うよりは
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