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ドリトル先生と悩める画家
第二幕その十

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「書くこともだよ、ひいては文学もだし」
「へえ、色々あるんだ」
「芸術と一口に言っても」
「そうなんだ」
「そうだよ、芸術の世界も広いんだ」 
 他の世界と同じくというのです。
「そのことも頭に入れておいてね」
「うん、わかったよ」
「芸術と一口に言っても様々」
「そうなんだね」
「うん、陶器だってそうだしね」
 先生がいつも愛用しているティーカップもです。
「立派なものは凄く高価だしね」
「そういえばそうだね」
「茶器なんか凄いよね」
「日本の茶器とかね」
「とんでもない値段ね」
「国宝にもなっているし」
「そうしたものだから」
 だからだというのです。
「広いってことはわかっておいてね」
「うん、わかったよ」
「広いんだね」
「芸術と一口に言っても」
「それでも」 
 動物の皆も頷きました、そうしてでした。先生はその皆と一緒に研究室に戻って少しお休みして午後の講義に出ました、そのうえで。
 先生はお家で夜も論文を書いていてです、笑顔で言いました。
「よし、書き終えたよ」
「今回の論文もですね」
「うん、そうなったよ」
 トミーに笑顔で応えました、パソコンの前で。
「無事にね」
「それは何よりですね」
「では次の論文にかかるよ」
「すぐにですか」
「うん、今度は社会学のね」
「本当に色々な分野の論文を書かれていますね」
「学者ならね」
 このお仕事をしているのならというのです。
「やっぱり論文を書かないと」
「それも色々な学問をされていたら」
「それぞれの学問の論文を書かないとね」
「駄目なんですね」
「しっかりと研究をしたうえでね」
 そのうえでというのです。
「書かないとね」
「学者なら論文を書け」
「そういうことだよ、学問は日進月歩だしね」 
 それで、です。先生は実際に次の論文を書きはじめて言うのでした。
「いつも書いていくよ」
「頑張っていますね」
「日本に来てからね」
「そうなりましたね」
「イギリスにいた時は」
 先生は書きつつあの頃のことを思い出しました。
「そうじゃなかったね」
「はい、色々な学問をされてましたけれど」
 イギリスにいた時からこのこと自体は変わっていませんでした、やっぱり先生は生粋の学者さんなのです。
「けれど」
「それでもでしたね」
「うん、どうしてもね」
「発表の機会もなくて」
「どうしてもね」
「残念なことに」
「病院も患者さんは誰も来なくて」
 何しろ何時どんな生きものがいるかどうかわからないからです、そんな病院に来る奇特な患者さんは滅多にいません。猛獣も普通にいたりしますから。
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