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ドリトル先生と悩める画家
第二幕その八

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「描かない訳でもないけれどね」
「それはスケッチだよね」
「先生のはそちらだよね」
「学問に必要だから描くだけで」
「生きものとかをね」
「僕のそれは芸術じゃないよ」
 先生のスケッチ、それはというのです。
「浮世絵でもゴーギャンでもないよ」
「そうそう、あくまで学問で」
「生きものの身体の仕組みとかを描くだけで」
「外見とかね」
「風景とかも描くけれど」
「それだけだね」
「そうだよ、あと写真も撮るけれど」
 そちらもなのです。
「あくまで学問の中のことで」
「芸術じゃないね」
「そこは違うよね」
「だからだね」
「芸術の為に描くのとは違う」
「そうだよね」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「ああしたことはね」
「ちょっとだよね」
「先生とは縁がないよね」
「どうしても」
「そうだよね」
「うん、僕の芸術学は実践じゃないよ」 
 本当にこのことを言う先生でした、まずはそのたっぷりとあるスパゲティを食べています。のびるとよくないからです。
「論文、机上のことと言うべきかな」
「実際に絵を描かないから」
「だからだね」
「そう、芸術は実践してこそだよ」
 何といってもというのです。
「これは音楽でもそうだね」
「そうそう、歌も演奏もね」
「そちらもだよね」
「まずやってみる」
「やってからだよね」
「何といっても」
「そうだよ、実践しないと批評家でしかないんだ」
 先生はご自身も含めてこう言いました。
「僕も然りね」
「先生も批評家なんだ」
「そうした人だっていうのね」
「実践をしない」
「そうした立場だって」
「うん、公平に観て学問として考えているつもりでも」
 それでもというのです。
「僕は芸術学、それに体育学ではそうだね」
「先生スポーツは全くだからね」
「馬に乗れるけれど」
「乗馬も乗ってるだけだしね」
「本当にそれだけだから」
 実は先生の乗馬は老馬以外は乗れないのです、そして駆けたりすることも出来ないのです。乗って降りるだけなのです。
「スポーツについてはね」
「知識と理論はあっても」
「実際に身体を動かすことは出来ない」
「そうだよね」
「自転車に乗れても競技にはとてもだよ」
 それこそというのです。
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