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俺の四畳半が最近安らげない件
坂上の罪状
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は、人間を殺害した場合のみ適用される罪です。…でもガイシャは人間じゃないんでしょ?」
「う、うむ…しかしこいつ服着てるぞ!?」
「犬猫だって服くらい着ますよ」
「そういうことじゃねぇよ!…つまりこの…ガイシャは!自分の意志で服を着て!高度な知能をもって生活する知的生命体の可能性が高いよな!?」
「前例がないしなぁ…。法律的には犬猫と同じ『器物損壊』になりますよねぇ、今後どうなるかは別として」
「器物…損壊」
思わず天を仰いだ。…例えばガイシャがカブトガニとか、国から保護されている生物であればもう少し重めの刑を科されたのだろうが…たとえガイシャが世界で唯一の生命体だったとしても、それを裁く法律がない限り、坂上の罪状は…。
「あー…もうこれ警察の出る幕じゃないんじゃないすか……ってうわああああ!!」
押入れの奥を覗いた小林が変な声を出した。
「…何があったんだ」
殺人現場が器物損壊現場になったことで俺はもうテンションだだ下がりなのだ。一応、押入れに首を突っ込むが…。
「―――んん??」
何だ、これは。炬燵くらいの大きさの、丸くて平べったい金属状の何かに透明なドームがついている。ドームの中は人が一人座れそうなスペースに、レバーらしきものが2本。…何だろう、何だか分からないが、俺はこれを知っている。遠い昔に、俺はどこかでこれを…。
「パーマン!これパーマンに出てくるやつですよ!!バードマンが乗ってるやつ!!」
「パーマンのやつか!?」
「そうです!この『バードマン式宇宙船』に乗って遠い惑星とかから遥々やって来たんですよガイシャは!!」
「こんなのに乗ってきたらエコノミー症候群とかにならないか!?ワープやら光速移動やらするんだろ!?」
小林が興奮し過ぎてよく分からない仮説に取りつかれ始めた。
「半分歪んで…中に体液のあともありますよ!?これ墜落したんですよきっと!!」
「UFO墜落して中で死んでる宇宙人見つけて、何で『よし、食うぞ』って思うのあいつ!?凄いニッチな変態なの!?」
「もうなんかよく分からない事件ですね!!」


「宇宙人なんてことになると、地球上にその生命体…ガイシャの所有者となる権利の主体がいないから…器物損壊自体、成り立たないぞ」


小林はしばし、円盤を撫でまわしていた手を止めて俺をじっと見つめた。
「……無罪?」
「……多分」
いや、普通にダメなんだがな?けど落ちてた宇宙人の死骸を食っちゃダメって法律ないし…なぁ?
「―――じゃ、俺達なにやってんですか?」
「知るかっ!何かもう分からん!!」
どちらにせよこの案件は俺達の管轄どころの騒ぎではない。未確認生物どころか宇宙人まで絡んできたら、俺達が下手に現場を引っ掻き回さないほうがいいだろう。あとは鑑識とか偉い先生たちに任せることにする。
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