暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十四話 イゼルローンにて(その4)
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
です、私達には関係ありません。これは私とミハマ大尉が勝手に決めた事です。貴方には関係ない」
「そうです、大佐には関係ありません」
「何を馬鹿な事を……、理屈になっていない!」

ヴァレンシュタインが首を振って吐き捨てるように声を出した。その途端、バグダッシュ中佐と呼ばれた男が弾ける様に笑い声を上げ始めた。
「我々の気持ちが分かっていただけましたか、大佐は何時も一人で全てを背負ってしまう。我々がそれをどれだけ情けなく思っているか……」
「そうです、中佐のいうとおりです」

今度はミハマ大尉が笑い始めた、泣きながら笑っている、バグダッシュ中佐も一緒に笑っている。滅茶苦茶だ、正直途方に暮れた。この状況でどうやってヴァレンシュタインを殺すのだ? リューネブルクを見ると彼も呆れたような表情をしている。

オフレッサーが太い声で笑い出した。頭をのけぞらせて笑っている。その声の大きさに男も女も笑うのを止めた。オフレッサーは一頻り笑うと真顔になった。
「俺も随分と修羅場をくぐったが、これほど馬鹿馬鹿しい修羅場は初めてだな。長生きはするものだ」
オフレッサーがまた笑った。

「ミューゼル准将、ブラスターを収めろ」
「し、しかし」
「命令に従え、ブラスターを収めろ」
厳しい目でオフレッサーが俺を睨んだ。

「ミューゼル准将、ブラスターをしまえ」
リューネブルクが俺を目と声で窘めた。仕方なかった、ブラスターをしまった。だがどこかでほっとしている自分が居た。その事に困惑した、俺はヴァレンシュタインを殺すべきだと思っていたはずだ。

「二人ともヴァレンシュタインを連れて帰れ」
「……」
「聞こえなかったか、ヴァレンシュタイン大佐を連れて帰れ」
バグダッシュ中佐が無言でオフレッサーに敬礼した。そしてミハマ大尉がそれに続いた。オフレッサーも答礼する。誰も喋らなかった。

「ヴァレンシュタイン、今回だけだ。次に会う時は……、容赦はせん!」
押し殺した声だった。言外に殺気が漂う……。皆が凍りつく中、ヴァレンシュタインが立ち上がった。

「次は出会わないように注意します。御好意、感謝します」
「うむ」
ヴァレンシュタインが敬礼をした。オフレッサーがそれに応える。礼の交換が終わりヴァレンシュタインが踵を返した。ふらつく彼を両脇から男と女が支える。ゆっくりと、ゆっくりと三人が去っていく。

「閣下、宜しいのですか、あの男を返してしまって……。あの男を捕え、敵を追撃するべきでは有りませんか」
リューネブルクがオフレッサーの傍に近付き問いかけた。オフレッサーは無言で腕を組んでいる。そして立ち去るヴァレンシュタインを見ていた。

「……リューネブルク准将、卿はヴァンフリートの仇を討ちたいのか?」
「そうでは有りません、後々閣下の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ