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消えるもの
第四章

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「それはな」
「だといいな」
「うむ、ではな」
「中に入るか」
「一緒にな」
 二人で入ってだ、そしてだった。
 店の奥、倉庫と言ってもいいそこに入った。すると壁という壁がプラモの箱に覆われて見えなくなっていた。
 そしてそのプラモ達はというと。
「ガンダムにマクロスに」
「多いじゃろ」
「サンダーバードもあるな」
 一号から五号、ジェットモグラもあった。
「スケールモデルも多いな」
「タミヤさんなりハセガワさんなりな」
「多いな」
「仕入れて売れ残ったものばかりじゃ」
「そうなんだな」
「わしが子供の頃から店をやっておるが」
「大体六十年か」
 享恭は興津が子供の頃からと聞いてこう言った。
「それ位か」
「まあそんなとこじゃ、ブリキのおもちゃからな」
「それ今あったら骨董品だよな」
「そうじゃな、もう伝統芸能じゃな」
 今現在ブリキのおもちゃを売っていればとだ、興津も言う。背は長身の享恭と比べて二十いや三十センチは違って見える。
「ああいうのは」
「そうだよな」
「あの頃はそうは思わんでな」
「プラモ一筋でいったか」
「わしの祖父さんがな、それでな」
「その六十年の間にか」
「ここまでなった」
「そうか、凄いな」
 享恭はそのプラモ達を見つつこうも言った。
「六十年の歴史があるか」
「御前さんが知らんのもあるじゃろ」
「ゲームで出て来る作品のはあるな」
「ほう、あるか」
「ボトムズとかザブングルとかな」
 スーパーロボット大戦から言うのだった。
「知ってるぜ」
「ほう、御前さん通じゃな」
「プラモ好きだからな、しかしな」
「しかし?」
「何だこれ、ダグラム?」 
 レイズナーの下にあるそのプラモデルを見て言った。
「太陽の牙ダグラムか」
「おお、それか」
「メーカーはタカラさんか」
「よかったら買うか?」
「デザイン渋いな、というかな」
「というか、何じゃ?」
「いや、こうして見ると色々な作品のプラモがあるんだな」
 しみじみとした口調でだ、享恭は共にプラモ達を見ている興津に言った。
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