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お江戸
第五章

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「その花蝶の花魁の青柳と馴染みでしたが昨日の夜店に入ったら断れて」
「それでかい」
「朝まで飲んでいました」
「憂さ晴らしでだね」
「そうしていました」
「そういえばおめえさん随分酒臭いぜ」 
 権太が笑って言った。
「相当に飲んだな」
「はい、どれだけ飲んだかわかりません」
「そうだよな」
「この前まで随分優しかったのに」
 濡髪は肩を落としたままその青柳のことも話した。
「それがどうして」
「そのことはな」
 何故かとだ、太之助はここまで聞いて言った。
「大体わかったぜ」
「おわかりですか」
「ああ、それならな」
「それなら?」
「おめえさん今日は暇かい」
「はい、場所はまだ先で」
「だよな、稽古はしてもな」
 それでもというのだ。
「場所のことは気にしなくていいな」
「まだそれは」
「じゃあ今日は部屋に帰ったら休みな。そしてな」
「そして?」
「今晩また吉原に行くか、今度は三人でな」
「まさか」
「そのまさかさ、花蝶に行くぜ」
 太之助はめざしを食いつつ濡髪に言った。
「いいな」
「そうしてですか」
「おめえさんのその肩戻してやるぜ」
 がっくりと落ちているそれをというのだ。
「だから今晩な」
「その時にですか」
「だから今日は夜まで休みな、何も考えずにな」
「そうですか」
「それでいいからな」
 笑って言うのだった。
「何もくよくよ悩まずな」
「そうですか」
「ああ、さてまずは飯食ってな」
 そのめざしや豆腐をおかずにしたものをだ。
「帰るか」
「帰ったら働らかないとな」
「働く時は働く」
「やっぱりそうしないとな」
「江戸っ子ならな」
 こう言ってだ、三人はまずは店で朝飯を食って夜のことをあらためて話して別れた、濡髪は部屋に戻り二人もそれぞれの家に戻って昼は熱心にそれぞれの場所で汗をかいた。そしてだった。
 夜に吉原の門で待ち合わせた、すると。
 ここでだ、太之助は濡髪の顔を見て言った。
「まあ少しはな」
「朝よりはですか」
「ましな顔になったな」
 落ち込みが弱まっているというのだ。
「そうなったぜ」
「だといいですが」
「部屋に帰って稽古したかい」
「はい、そうしてきました」
「そこで身体動かして汗かいたからな」
 だからだとだ、太之助は笑って話した。
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