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夢幻水滸伝
第五話 出雲へその十二

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「二つで一つの神具や」
「ほお、神具ってことはや」
「僕も星やで」
 男は笑って言ってきた、笑うと大きな口が開き白い見事な歯とやけに大きな独特の動きがする舌が出て来た。
「難波克己、八条学園高等部三年や」
「難波?ああ、自転車部の」
「僕のこと知ってるか」
「そこのエースやったな」
「主将やってるで」
「そやったな」
「それでこっちの世界では星の奴や」
 それになっているというのだ、見れば大きな馬に合う位の大柄さだ。痩せて引き締まっている身体の肩幅は広い。
「天殺星やで」
「天の星か」
「三年やしな、神具は方天戟と赤兎馬にや」
「その馬か」
「文字通り一日千里走って空も跳んで海の上も駆ける」
 そうした馬だというのだ。
「僕の相棒や」
「ええ馬やな」
「特別なな、そしてこのマントはや」
 羽織っている紅のそれの話もした。
「紅のマント、あっちの言葉やと紅戦袍とかいうたな」
「中国の言葉やな」
「熱も冷気も敵の攻撃も防いでくれる」
「そうしたマントか」
「有り難いもんや、この三つが僕の神具や」
 そうだというのだ。
「この三つで戦の場で大暴れするつもりや」
「呂布みたいにか」
「実は僕三国志好きでな」
 にたりと笑ってだ、難波は中里に言ってきた。
「その中でも呂布が一番好きやねん」
「強いからか」
「尊敬するわ、あの強さ」
 にたりとした笑みのまま言う。
「それにあやかってな」
「それでか」
「ああ、この世界で暴れるで」
「そうか、それでやけどな」
 中里は鵺と目を合わせて頷き合ってからだ、難波にあらためて言った。
「うちの勢力に入らんか?」
「自分の所属する勢力にかいな」
「うちのことは知ってるか?」
「確かあれやな」
 難波はその小さな丸く、そしてよく動く目で中里を見つつ言葉を返してきた。
「関西やな」
「そや」
「そやな、まあ僕も生まれは京都やしな」
「山城やな」
「こっちの世界ではな、僕等の世界では今は神戸暮らしや」
 八条学園のあるこの街にいるというのだ。
「お父さんとお母さんが海外に仕事で言って親戚の人のお家に居候や」
「それで神戸におるんか」
「そや、寮に入ろうかって思ったら親戚の人に誘われてな」
 そしてというのだ。
「お世話になってるわ」
「そうなんか」
「そや、まあ僕の話はええとしてや」
「本題やけど」
「実は僕ロシアに行こ思てるねん」
 難波は少し笑ってだ、中里に答えた。
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