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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
ナルト
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「うるぅううううあぁあああああああ!!」

 我愛羅は尚も変化を続けていた。
 砂が右腕を覆い、顔を完全に覆い、上半身を覆った。砂で形作られていくその砂色の体。サクラを押さえつけていた砂色の手が手首と分離し、手首からは新しい手が再生され、砂色の手はしっかりとサクラを押さえつける。

「俺を倒さなければこの女の砂はとけないぞ。それどころか、この砂は時が立つ度に締め付け、やがてこの女を殺すッ!!」

 すっかり化け物と化した我愛羅の声に、ナルトは奥歯を噛み締めた。我愛羅は何が何でも戦いたいのだ。だからナルトがサクラを助けて、サクラとサスケと逃げることを許さない。

「砂手裏剣ッ!」
「――っ」

 ナルトは咄嗟に、先ほど自分が口寄せした蝦蟇を抱いて飛び上がった。しかし砂の手裏剣は思いのほか高い威力を持っており、ナルトを大樹の幹に叩きつける。「愛」という文字と赤毛以外まったく我愛羅としての特徴を失った砂色の狸が残虐な笑みを浮かべてそれを見下ろす。
 ナルトが呼びだしたその蝦蟇は、オレンジ色の体躯に紺色の衣服を纏っっており、名をガマ吉、といった。突然おやつを欲しがってきたあまり戦力にはなりそうもない、小さすぎる蝦蟇だ。赤丸や紅丸と同等もしくはそれ以下だとナルトは目測をつけた。

「ぐっ……」

 呻きながら起き上がる。よえーな、単刀直入に言うガマ吉にうっせー、と返し、つい、と視線を守鶴に向けた。釣られるように守鶴を見たガマ吉が怪訝そうに、「しっかしなにもんじゃありゃあ」と呟く。ナルトは我愛羅に視線を向けながら黙り込んだ。

 +

 ちょっとだけ、似てると思った。
 自分がこんな姿になったことはないが、幼い頃からとにかく化け物という単語をよく聞いた。自分に向かって吐き捨てられるその言葉、自分を避ける子供たち。鏡の中に映る子供はいつも寂しそうな目で自分を見返していた。強がった寂しそうな目。孤独な目。
 似ていると、ナルトは我愛羅の瞳を見て思った。ただ我愛羅の場合は孤独の上を更に憎しみや悲しみや怒りや狂気やその他様々の感情が張り付き、覆っているから、ナルトのそれとは違って感じられるだけ。
 幼い頃の自分が思い出される。鏡の中の自分を睨みつけて、ばけもの、その単語を口にした時のこと。里の人々が誰も彼も恨めしくて憎たらしくて、何のために存在するのか、何のために生きているのか、自分は誰なのか、どうして自分は化け物なのか、どうして自分だけ嫌われているのかと、不公平だと呪っていた。
 ミズキに、里を抜けようとして自分を利用したミズキに自分の中に九尾がいると知らされてからは、他人が余計冷たく見えた。九尾が里を壊したのも九尾が自分の中にいるのも自分の所為かと、自分は赤ん坊でしかなかったのにと叫びたい気持ちにかられた。
 苦しくって、
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