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夢幻水滸伝
第五話 出雲へその一

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                 第五話  出雲へ
 中里は空を飛びつつだ、鵺に賊は何処かと聞こうと思った。青空が奇麗だが今はその青空に見入ってはいなかった。
 しかしだ、鵺はその彼にこう言ってきた。
「もうすぐやで」
「今何時やって聞こうと思ってたわ」
「そうなんか」
「ああ、けれどやな」
「もうすぐやで」
「あの山か?」
 下を見てだ、中里は鵺に問うた。その山は森に覆われている。
「あそこにおるんか」
「そや、あそこにおる」
「深い森やな、あそこの何処におるんや」
「そこもわかってる、というか気を感じるやろ」
「!?」
 中里は鵺に言われてだ、すぐにだった。
 眼下の森の中のある場所に多くの気を感じた、それは濁りきったものばかりだった。
「えらい汚い気を感じるわ」
「そやろ」
「それが集まってるな」
「どれだけおっても気は隠せん」
 そこをだ、鵺も言った。
「寝てても出るしな」
「それでやな」
「そや、星の持ち主は色々感じ取ることも出来てや」
「気もやな」
「人や生きもののそういったものも感じ取れる」
「それがレーダーやソナーみたいになってるんやな」
「そっちの世界の道具か」
「ああ、遠くや目では見えへんものでも何処に何がおってあるか教えてくれる」
 レーダーやソナーについてだ、中里は鵺にわかりやすく話した。
「この世界の日本にはない技術みたいやけど科学って技術があってな」
「ああ、アメリカとかにある」
「こっちの世界のアメリカにはあるんか」
「そや、科学っていうたらな」
「成程な、まあとにかく気を感じられるんやな」
「感じようって思ったらな」
 その時はというのだ。
「そやから自分は今実際に感じたんや」
「ああ、ほな今からな」
「賊のところに行ってやな」
「成敗するで」
「そうするか」
「碌でもない奴等しかおらんから容赦はいらん」
「遠慮なく斬ってええんやな」 
 中里の目が鋭くなった、赤い兜の中で。
「連中は」
「近くの村や旅人を襲って殺しての連中や」
「ああ、ほなもう片っ端から斬ってええか」
「というかそうせなあかん、そしてそういう連中を成敗していくとな」
 そうしたことをすると、とだ。鵺は森の方に降りつつこうも話した。
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