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風魔の小次郎 風魔血風録
22部分:第二話 夜叉八将軍その十
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第二話 夜叉八将軍その十

「とりあえず今は様子見か」
「まさか今から誠士館に殴り込むつもりだったのか?」
 劉鵬は少し引いた顔になって項羽に問うた。
「まさかとは思うが」
「そうだよ、それだよ」
 ここで小次郎が起き上がって劉鵬を指差して叫んだ。
「一気に殴り込みだよ。それで決めるぞ」
「馬鹿っ、玉砕する気かよ」
 また兜丸が小次郎をはたいて叱る。
「こっちは数が少ないうえに夜叉一族の本拠地だぞ。死にに行くつもりか」
「俺が全員倒してやるだ」
「もう御前黙ってろ」
 兜丸の言葉は容赦がない。
「それでだ」
「うむ」
 竜魔は兜丸に対して応えて頷いた。
「まずは林彪と小龍が来てから本格的に仕掛けるが」
「だが林彪はともかく小龍は」
 霧風が言う。
「少し陽動で東北に動いているからな。そこから来るから」
「遅れるのだな」
「そうだ。まずは全員揃わないと話にならない」
「けれど竜魔さん」
「何だ麗羅」
 今度は麗羅に顔を向ける。
「向こうだってこっちのことはわかってるんだし仕掛けて来ることも」
「その場合は迎え撃つ」
 竜魔の言葉は決意になっていた。
「この竜魔がな」
「へっ、だから俺一人だって充分だってのによ」
「それは最悪怪我をなおしてからにしろ」
 今度言ったのは劉鵬だった。
「とりあえずはだ。いいな」
「わかったよ。じゃあ今日は寝るか」
「そのまま当分起きるな」
「せめて安静にしておけ」
 霧風と項羽の容赦のない突込みが入る。それが終わってから蘭子が風魔の一同に告げてきた。
「風呂が入っているのだが」
「むっ、左様で」
「順番を決めて先に入ってくれ」
「いや、そのお気遣いは無用」
 竜魔が彼女に答える。
「我等は一同で入りますので」
「全員でか」
「はい。ですからお気遣いは無用」
「それより蘭子さんがお先にどうぞ」
「私は」
 蘭子は麗羅の言葉を聞いて少し微妙な顔を見せてきた。
「後にする。女は後に入るものだからな」
「また随分と古風な考えだな」
 小次郎はそれを聞いて呟いた。
「男勝りなのによ」
「御前は怪我をしても変わらないのだな」
「へっ、そう簡単に変わってたまるかよ」
 さっきのふてされた姿勢で左手で腹をかきながら述べた。
「どうせ俺は入ることができねえしよ」
「まあ今日は安静にしておけ」
「ちぇっ」
 蘭子にも言われたのだった。
「わかったな」
「わかったぜ。それじゃあな」
 小次郎はそのまま寝てしまった。風魔の一同が集結した。これは風魔と夜叉の本格的な戦いの幕開けであった。
 絵里奈の病室。そこに弓矢が入って来た。
「何これ」
 看護婦はその弓を見てまずは顔を顰めさせた。
「絵里奈ちゃん?こんなことしたのは
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