暁 〜小説投稿サイト〜
俺たちで文豪ストレイドッグスやってみた。
第2話「騒乱の序曲」
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「――さてさて、どうしたものかな」

 健がそう呟き、長めに伸びた黒髪の下に覗く顔にニコニコと笑みを浮かべる。女の氷柱のように鋭い視線を真っ向から受けても尚その様子を崩す事はなく、女が忌々しげに舌打ちした。その様子を見て健が苦笑し、それによって更に女が機嫌を損ねる。
 女はその表情を一旦引っ込めるとその声音を冷静なものに戻して、静かに声を上げた。

「敢えて貴方のところに向かって見ましたが……失敗でしたね。江西達也は連れていないのですか?」

「それに関しては僕も驚いたよ……あと生憎と、彼は今出張中だ。ちょっと頼み事をしていてね」

「敵にそんな事バラしちゃっていいんですかー?あの人すっごく頭良さそうなんですけどー」

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 健の言葉を聞いた女――『カミサキ』は素早く周囲を視線のみで見回すと、それが本当だと確認したのか、ほんの少しだけ口端に笑みを浮かべる。その間に、健の後ろで待機していたツインテールの少女が不思議そうに健に問いを投げた。

「そういえば、お知り合いさんですかー?」

「うん?ああ、昔ちょっとね」

 横目でウインクしつつぼかした健に少女が少しばかり訝しげな視線を向けるも、特に気にした様子も無く視線を戻す。気付けば先程の笑みも引っ込めた『カミサキ』は平静を取り戻し、あくまでも冷静な様子で手に持った銃を降ろした。
 健の目が細まり、冷たい視線の応酬が行われる。

「……彼が居ないのなら、私にもまだ勝ち目はありますね。あの男と真正面からやったのでは、勝ち目がありませんから」

「へぇ、僕相手ならこの状況をどうにか出来るって?」

「無論、貴方の異能力は厄介ですが……逃げるくらいなら出来ます。あの化け物程ではない」

 一歩、退く。即座に少女が反応して袖口から折り畳みナイフを抜き出し、『カミサキ』に向けて投擲する。ナイフは寸分違わず女に向かったが、女もまた手に持った銃で正確にナイフを撃ち落とす。高速移動する小さな的を撃ち落とす技術の高さもそうだが、この女の恐ろしさはその異能力の凶悪さだけに留まらないのだ。

 退いた女の背後に、突然空間の歪みが出現する。その歪みから唐突に顔を出した少年が調子の良さそうな笑顔を浮かべて、『カミサキ』に声を掛けた。

「はいはい、呼ばれて飛び出てろーがさんですよ!貴女のピンチに即参上!」

「しまっ……!」

 焦った様に健が走り出すも、到底間に合わない。直ぐに異能力を発動させようとするが、寸前で後ろの黒服達が一斉に射撃を再開する。銃弾が狙うのは健では無く、背後に控える二人。
 即座に健がその『異能力』を発動させて銃弾を止めるも、その時既に『カミサキ』は歪みの中へと消えていた。
 残った黒服達も、蜘蛛の子を散らす様に撤退
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