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風魔の小次郎 風魔血風録
150部分:第十三話 暖かい風その九
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第十三話 暖かい風その九

「しかしだ」
「また俺達の前に立ちはだかるってんだな」
「そうだ。そうなれば我が風魔の最大の脅威になる」
 竜魔はこのことを警戒していたのだ。何処までも忍であった。
「そうなった時はどうするのだ」
「そん時やまた俺が相手してやるさ」
 竜魔と擦れ違いつつ答えた。
「俺がな。それでいいよな」
「御前がか」
「駄目か?」
「いや」
 それは否定しない竜魔だった。
「好きにしろ、御前のな」
「あいつと会うのはこれで終わりじゃねえ」
 既にこのことは直感で感じていたのである。小次郎自身の。それと共に運命的なものもまた感じていた。飛鳥武蔵、そして聖剣に対して。
「そん時はまたな」
「頼むぞ」
「ああ、任せとけ」
 この話の後で誠士館を去ろうとする。それに風魔の兄弟達が続く。しかしその彼等に陽炎が声をかけるのだった。
「風魔の者達よ」
「何だ」
 その言葉に風魔の面々が皆足を止めて顔を向ける。陽炎はその彼等にまた言うのだった。
「今回は貴様等の勝ちだ」
「認めるのだな」
「そして一つ礼を言っておく」
「礼だと?」
「そうだ。よく武蔵の命を助けておいた」
 彼が言うのはこのことだった。
「それには感謝しておく」
「面白いことを言うな」
 今の彼の言葉を聞いて項羽がいささかシニカルに言葉を返した。
「貴様等は武蔵を嫌っていたのではないのか」
「そういえばそうだったな」
 霧風もそれに続く。
「確か傭兵であるあの男が指揮官を務めていることが。不満ではなかったのか」
「それはその通りだ」 
 闇鬼が口を開いた。
「外様であるあの男が我々の指揮官になるというのはな。我慢ならなかった」
「それがまた随分と変わったものだな」
 林彪が彼等に言う。
「どういう風の吹き回しだ?」
「俺達にも心がある」
 黒獅子がその言葉に応える。
「これだけ言えばわかるな」
「武蔵の心がわかったか」
 劉鵬は今の黒獅子の言葉にそれを見たのだった。
「成程な」
「その通り。飛鳥武蔵」
 白虎が言う。
「壬生が認めただけはある。見事な男だ」
「確かにな」
 小龍もまたそれは認めていた。
「敵だったが。見事だった」
「貴様等にわかることが我等にわからない筈がない」
 紫炎は風魔の者達を見据えていた。しかしもう敵意はなかった。
「今まで気付かなかったのは愚かだったがな」
「けれど。気付いた」
 麗羅はこのことを言う。
「はっきりと」
「確かに好かぬ男だった」
 雷電はまだその心がくすぶっていた。
「しかしだ。今では見事と言っておこう」
「わかった。それではな」
 兜丸が応えた。
「また会おう。その時は」
「今度こそ切り刻んでやるぜ」
 妖水はいつ
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