暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
Behind the truth
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
ALO上空に浮かぶ、伝説の魔城。

アインクラッド。

その第一層【始まりの街】。全フロアの中でも一、二を争うほどの巨大な街並みの中に、かつてその城が一万人の虜囚を抱える監獄だった頃は、行きかう者達が一様に暗い顔をしていた《黒鉄宮》という施設がある。

無論、ALOにて復活した現在では、フロアボス攻略者の名が刻まれる場であるということもあり、かつて知人の死亡確認のために訪れていた多くのプレイヤー達が放っていた陰鬱な雰囲気はどこにもない。

そんな黒鉄宮だが、その地下に広大な迷宮を擁していることを知る人間はSAO時代まで遡っても僅かしかいない。

黒鉄宮地下迷宮最深部。

基部にはあるまじき高レベルMobの巣窟である、黒い石造りのダンジョンを抜けたその先。

危険域の中にぽっかりと空いた空白地帯、安置であるその部屋は、完全な正方形を成していた。入り口は一つだけで、中央にはつるつるに磨かれた黒い立方体の石机が設置されている。

アルヴヘイムにその身を移してからは誰一人訪れるどころか、そもそもその存在を知る者もほぼいない安全エリアに、ひたりと静かな足音が響いた。

黒曜石のような、黒水晶のような、透明感のある黒い石で構成された部屋の中。

純白の髪をなびかせながら入室した小さなその人影は、まるで幻のような、それこそ妖精のような神秘的なベールを纏っていた。

現れたその少女は、入り口の外から聞こえる、徘徊するモンスターの恐ろし気な咆哮など意に介さず、真っ直ぐに部屋の中央――――そこに鎮座する黒い立方体へ向かう。

変化は明確だった。

まるで、少女の接近そのものに何らかの命令が込められていたかのように、黒い石に突然数本の光の筋が走った。直後、ぶん……と音を立てて表面に青白いホロキーボードが浮かび上がる。

少女は知っている。この立方体は本来、スタッフが内部側からシステムに強制介入し、データの巻き戻し(ロールバック)などを実行できるために設置したコンソールだということを。

そして、自身もそこに介入できるということも。

―――ここから、《あの場所》へ。

せっかく出現してもらったが、キーボードは使う必要がない。彼女が掌る力が何なのか、それさえ理解できていれば現象を片付けるには充分だ。

少女は弦を震わせるように、思考の糸を弾く。

それだけで、呼応するように石に走る輝線の光量が増した。直後、少女の矮躯を青白い光が包む。階層間をテレポートする際にに発生する転移光だ。

転移する時に感じる、軽い眩暈のような感覚をやり過ごし、少女が次に目を開けると、景色が変わっていた。

宇宙。

夜闇にも似た、紺を混ぜた黒の中に、ぽつぽつと銀砂のような輝きが混じっていて、その様は広大な星空を思わせ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ