暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
Behind the truth
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ーディナルだが、その過程でとある少年と対峙することになる。

意思と意思、欲望と欲望がぶつかり合い、重なり合った結果、カーディナルはその魂を突き動かす根源的な渇望を上書き(オーバーライド)され、永き眠りについていたはずだ。

「――――起きて、たのね」

うねり、漂う、データコードの海。

そのただ中で、イヴと呼ばれた真っ白な少女は言った。

対して、タキシードを着た男はどこまでも泰然としていた。彼は大仰に腕を広げながら、

「私はちゃんと言ったはずだ。『あと二、三年は眠る』とな。その最低条件は満たしている」

「ハッ、白々しいわね。ずっと監視してたくせに」

吐き捨てるような言葉に、男は底知れない笑みを浮かべる。

「さて、何用かな?イヴ。まだ接触点には至っていない気がするが」

「誤魔化さないで。初めから分かっているはずよ」

動じない男にいい加減沸騰しそうになっている頭を必死になだめすかしながら、少女は金と銀の瞳を細めた。

「なぜ、《災禍》を蘇らせたの?」

「…………」

「あなたには分かっていたはず。《彼女》は必ず《災禍》を復活させる。そうと知っていて、あなたはここから《彼女》を見つけ出したのでしょう?」

疑問はあった、最初から。

GGO最大の大会。バレットオブバレッツをあそこまで完膚なく引っ掻き回した力と実行力。その両方を持っていたにも拘らず、《彼女》はSAOがクリアされてから今まで何の音沙汰もなかった。

前兆も、予兆すらも。

―――だけど。

激甚な感情を抑え、能面のような表情になっている少女はゆっくりと首を巡らせた。

「この――――《ホロウ・エリア》から」

ホロウ・エリア。

その正体は、一般Mobやイベント、その他ゲームで実装する予定の様々な要素を本実装前にバグの類がないか確かめるための、開発テスト用の秘匿エリアのことだ。

SAO時代、カーディナル・システムはできるだけ開発スタッフの手を借りないスタンドアロンのシステムを目指されていた。その方向性の極地がここなのだ。

このエリアでは、本来ならスタッフ自らの手で行われるべきテストプレイヤーさえ、一般サーバで生きている通常プレイヤーIDをもとに量産されていた。

その名も、ホロウ・データ。虚ろな影のような彼らは、ユイを初めとしたMHCP(メンタルヘルス・カウンセリングプログラム)にも実装されていた感情収集システムによって抽出された、本物のプレイヤーの感情データで構成されている。

「SAO黎明期、あなたは誕生した《災禍》に興味を持った。まぁ、最初から心意(インカーネイト)システムという未知に惹かれていたという側面もあって、それを掌る私にコンタクトを取っていたことは、憶えて
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