暁 〜小説投稿サイト〜
Muv-Luv Alternative 帝国近衛師団
第一話
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 

 一九七五年 八月十七日

 日本帝国 帝都京都

 有栖川宮(ありすがわのみや)











 時計の針が零時を回る頃、一人の男性が畳が敷かれた部屋を歩き回っていた。男性の表情は、緊張と不安が浮かんでおり落ち着きがない。

「まだなのか……」

 そう呟くが答えは返ってこない。代わりに襖を開けて三人の男性が入ってきた。

「少しは落ち着かないか?隆仁(たかひと)殿?」

 長身で綺麗に手入れされ、ピンッと張っている口髭をした海軍の軍服を着た男性が落ち着く様に言った。

「しかし博恭(ひろやす)殿……愛子が頑張っているのに何もできないなんて……!」
「だから落ち着けと言っているではないか。こういう時は男は何もできん」
「ですが……!」

 博恭と言う名の男性に論されるも隆仁は未だに落ち着かずにいるため、また違う男性も会話に参加し始めた。

「隆仁殿、私も最初はそうでしたが、やはり博恭殿がおっしゃるようにこういう場合には男は何もできません。ただ無事を願う事しかできませんよ」
載仁(ことひと)殿……しかし……」
「まぁ、そういう事だから黙って座っていろ。男はドンッと構えてればいいのだ!」
智忠(としただ)までもそう言うのか………」

 隆仁を優しく論する載仁は、優しそうな垂目と立派な白いカイゼル髭が特徴的な人物で、そして軍服を着ており陸軍の物を着用している。
 そして唯一隆仁を呼び捨てで呼んだ智忠は、何とも悪い目つきで、鷹や鷲のような攻撃的な印象を受ける。やはり軍服を着ており、博恭と同じ海軍の物を身に纏っている。

 ちなみに隆仁の軍服は陸軍の物である。

 三人に論された隆仁は大人しく座布団の上に座ったが………

「……………やっぱり何かしなければ!」
「落ち着け隆仁!そこの襖はダメだ!」
「は、離せ!せ、せめて、せめて愛子の傍にぃぃぃ!」
「邪魔になるからダメだ!」

 隆仁は立ち上がり、最愛の妻である愛子がいる八部屋先の部屋に行くために目の前の襖を開けようとするも、後ろから智忠に捕まれ前へ進めなくなっていた。隆仁は振り解こうと、智忠は解かれぬようにと、お互いの攻防が続いた。

 その二人の攻防を呆れながら見ている博恭とお茶をおいしそうに飲む載仁は、二人を止めることなく話をし始めた。

「空軍の解散は、やはり決定的ですね」
「ええ、その代わり新たに航空宇宙軍が編成されます」
「……空軍には悪いですが、奴らがあんな出鱈目な物を出して来ては、航空機は使い物になりませんからね」
「全く同感です。載仁殿」
「早く我が帝国に戦術機とやらが配備されればいいのですが……」
「最前線である欧州への供給が優先されていますからね……仕方が
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ