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風魔の小次郎 風魔血風録
14部分:第二話 夜叉八将軍その二
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ついて述べる。
「だから今こうして助っ人に来ているんだけれどよ。御前はどうしてなんだ?」
「私がか」
「ああ。柳生の家だからか?」
 まず問うのはそこであった。
「柳生家も代々北条家に仕えてるんだったよな」
「そうだ」
 蘭子は小次郎のその問いにこくりと頷いてそれを認めるのだった。
「それでなのか?」
「それもある」
 それもまた認めた。だがそれだけではないとも言うのだった。
「私も父の兄も」
「御前妹だったのかよ?」
「おかしいか?」
「いや、まあその可能性はあるのは事実だけれどよ」
 ジロリと睨んできた蘭子に対して答える。
「ただ。弟がいそうだからよ」
「弟もいるがな」
「ああ、それはわかるぜ」
「何を感じているのかわからないが皆北条家にお仕えしているのだ」
「そうか」
「そうだ。ただ」
 ここでまたそれだけではないと述べる。
「それだけじゃねえのかよ」
「ああ。こんなことを言えば駄目なのかも知れないが」
 また前置きしてきた。
「私はあの人が好きなのだ」
「好きなのかよ」
「あの穏やかで真面目で」
 見れば姫子はこれから試合に向かう選手達の世話をしているバットやグローブを手渡したりにこやかな笑みで優しい言葉をかけたりしている。まるでマネージャーの様に。
「何でも必死に頑張れるあの方がな。好きなのだ」
「姫ちゃん自信がな」
「幼い頃よりお側でお仕えしてきた」
 それだけ深い絆が二人にはあるのだ。
「その間一度として我儘を言われたことはない。普通の女の子ならその重圧に耐え切れない今でもな。そんな姫子様が好きなのだ」
「そうなのか」
「ああ。少しおっとりというかぼんやりとしたところもあられるがな。それがまたな」
「蘭子、御前いい奴なんだな」
「褒めても何も出ないぞ」
 こうは言っても顔を微妙に赤らめさせていた。
「言っておくが」
「いいさ。ところで今回の俺はサポートだったな」
「ああ」
 小次郎のその言葉に答える。
「じゃあよ。今日の試合センター狙って打つといいぜ」
「センターをか」
「ああ。今日の風は左から右だ」
「風か。わかるのか」
「そうさ。俺は風魔だからな」
 自身のいる忍について言った。
「風を読むのはお手のものなんだよ」
「それでセンターなのか」
「右でも左でもそこに打てばボールが面白い動きをするぜ」
 グラウンドを見ながら蘭子に語る。
「ただ、右バッターは下手に流し打ちしない方がいいけれどな」
「わかった」
 小次郎のその言葉に頷く。すると小次郎はまた蘭子に対して言うのだった。

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