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風魔の小次郎 風魔血風録
137部分:第十二話 聖剣の真実その十一
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第十二話 聖剣の真実その十一

小次郎は己が持つ風林火山を大きく振り被ったのだった。
「むっ!?」
「風林火山を使うか」
「壬生!」
 小次郎はその風林火山を振り被らせたまま壬生に対して言った。
「確かに手前はすげえ」
 それは認める。
「しかしな。俺だって意地があるんだ。そう簡単にやられるかよ!」
「私の霧氷剣を受けられるというのか」
「受けるんじゃねえ!」
 このことは否定する。
「こうするんだよ!」
 叫び声と共にその振り被った風林火山を思いきり振り下ろした。
「これならどうだ!避けることも受けることもできねえのなら切ってやる!」
「むうっ!」
「この風林火山、いや俺の力」
 振り下ろしながらの言葉であった。
「とくと拝みやがれえっ!!」
 言葉と共に振り下ろされたそれは凄まじい轟音と風を巻き起こした。その風はまさに剣であった。そしてその剣は。霧氷剣を打ち消しそのうえ。壬生をも切り大きく吹き飛ばしたのであった。
「ぐうっ!」
「壬生!」
「京介!」
 それを見て武蔵も八将軍も夜叉姫も声をあげた。壬生の身体は高く宙を舞いそのうえで地面に叩き付けられた。勝敗が決したのは誰の目にも明らかであった。
「壬生!」
「無事か!」
 仰向けに倒れている彼のところに武蔵と八将軍達が駆け寄る。夜叉姫もまた心配そうな顔で彼を見ていた。
「大丈夫だ、確かに傷は深いが」
 まず陽炎が壬生の傷と様子を見て言った。頭から血を流している彼を武蔵が抱き起こしている。
「命に別状はない。貴様の実力か」
「いや、黄金剣が守ってくれたのだ」
 しかし壬生は陽炎に対してこう答えた。声は先程よりも弱いものになっている。ダメージのせいかその動きもよくはない。
「この黄金剣がな。私を」
「剣が守ったのだな」
「そうだ。そして聞いた」
 壬生は武蔵の顔を見つつまた述べる。
「武蔵、御前だ」
「俺だというのか」
「そうだ、御前しかいない」
 こうも言った。
「黄金剣を使えるのは。やはり御前しかいない」
「俺が。正統の所有者だというのだな」
「そういうことだ。残念だがな」
 口元に寂しそうな笑みが宿った。
「だからこの剣を御前に返そう」
「返すだと。だがこれは夜叉の」
「元々。我々の手に百年前に流れ着いたものだ」
「百年前だと!?」
 百年前と聞いた蘭子が声をあげた。
「百年前といえば我が家牛家も風林火山を見つけた時」
「えっ、じゃあそれでは」
 姫子は今の蘭子の言葉を聞いて悟った。
「風林火山と黄金剣が今ここで巡り合ったのは」
「はい、おそらくは」
 蘭子は静かな面持ちで姫子の言葉に頷いた。
「運命だったのでしょう、ここで」
「そうですか、何と」
「武蔵」
 壬生はまた武蔵の名を呼
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