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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第86話:知識があるのなら、それを生かす努力をするべきである……と思う時もある
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して、それらを欲しがらないとは言えません。むしろ欲しくて仕方ない状態になってるはずです! 最強の兵器たる火縄銃を手に入れた今、力押しでグランバニアを奪いに来る事は明白! 奴隷制度を続けてる国ですからね……末端の兵士が犠牲になる戦争なんて何とも思ってないでしょう」

何だそれは!?
火縄銃開発を防ぐ為、逃亡者引き渡しを要求しても戦争に発展する可能性が大きく、諦めて防衛に勤しんでも先方が戦争を止める気が無い限り、被害が発生する。八方塞がりじゃないか!?

「リュカさん……もう一つ選択肢がありますよね? 私の口から言いましょうか? それとも陛下御自らの口で提示なさいますか?」
あだ選択肢があるの? それは戦争を引き起こさない選択肢なのか?

「……………はぁ〜。要するに僕が火縄銃を超える武器の情報を提示しろって事だろ!?」
「流石陛下……ご明察でございます」
幾何かの沈黙を踏まえ、大きな溜息の後から発せられた父さんの声は、酷く疲れた様子を感じ取れる。

「陛下……いや、リュカさん。リュカさんが恐れてるのは、この兵器が発展していき未来で人々を苦しめるかもしれないから嫌なんですよね? そんな未来を見た事があるから、だから危険な兵器の開発を恐れていたんですよね?」
「そうだよ……それらの兵器は発展すると、途轍もなく恐ろしい化け物に変化する。だから存在自体が怖いんだよ」

「ですがリュカさん。俺はこう考えるんです……武器は何処まで行っても道具でしかない。本当に恐ろしいのは、それを扱う人間なんだと。恐ろしい未来を知ってるリュカさんが居るからこそ、その未来が訪れないように武器の扱い方を確定させれば良いのだと!」
「扱い方を確定……?」

「そうです。現在リュカさんが持ってる権力(ちから)は絶大なモノです。その絶大な権力を背景に、今の内から危険兵器の暴走を止める手立てを打つのです! そうする事で武器を扱う人間の成長を促し、長きに渡ってグランバニアが正しく繁栄していくように道筋を作る事が出来るはずです。ですが、それを行う事が出来るのは危険兵器の情報を持っており、尚且つその兵器の行く末の一つを見た事があるリュカさんだけなのです! サボらないで下さい……手を抜かないで下さい……リュカさんの持つ膨大な知識を、未来の人々の為に良い方向で活用して下さい。弱き者の気持ちが解る強き者……リュカさんにしか出来ない事なんです!」

「くっそ〜……嫌な言い方をする」
僕もそう思うが、先程まであった恐ろしい雰囲気がなくなり、真摯に父さんを説得してるウルフ君の姿は胸に響く。
あれ……? でもさぁ……

「ウルフ君……名演説の後に悪いんだけど、火縄銃より強力な兵器を作り出したら、もっと問題がややこしくならない?」
「なるでしょうね……作り出しただけでは」
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