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レーヴァティン
第三話 生きるか死ぬかその十一

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 その彼等を倒しつつ先に進む、そして。
 いい加減疲れきってだ、久志は英雄に言った。
「もうな」
「歩けないか」
「ちょっとな、腹も減ったししな」
「俺もだ」
 英雄は表情は変わらないがこう久志に述べた。
「もうだ」
「御前も限界か」
「空腹は偽れない」 
 己のそれはというのだ。
「隠すことは出来るがな」
「食ってないとな」
「どうしようもない」
「そういえば俺達こっちの世界に来てから何も食ってないな」
「それならだ」
「腹が減るのも当然か」
「全くだ、しかし食うものは何もないし限界だ」
 体力的、それにというのだ。
「それならだ」
「ここで野宿か」
「そうなる、何処かで寝るか」
「ああ、しかし何処で寝るんだ」
「モンスターの出ない場所だ」
 英雄の返事は一言だった。
「そこでだ」
「ここにそんな場所あるのかよ」
「ないだろうな」
 英雄はこれまた一言で答えた。
「俺はまだこの世界には詳しくないが」
「それじゃあ寝られないだろ」
「そうかも知れないな」
「じゃあどうなるんだよ」
「寝ないことも覚悟しろ」
「やれやれだな、じゃあ徹夜か」
「それも有り得る」
 英雄の表情は鉄仮面の様なもののままだった、しかし久志は違っていてだ。
 二人は道をさらに進もうかそれとも危険を承知で休もうかと考えだしていた、だがその彼等の目の前にだった。
 灯りが見えた、久志はその灯りを見て言った。
「まさか」
「人家か」
「それか?」
「若しくは化けものの目か」
 英雄は一つの丸い灯りを見てだ、久志にこうも言った。
「あれは」
「化けものの目だったら相当に大きいな」
「そうだな、しかしな」
「ああ、モンスターの目にしてはな」
 その灯りを見ていてだ、英雄だけでなく久志もわかった。命がある存在の目にしてはそれはだったのだ。
「こっちを見ている感じじゃないしな」
「動いてもいない」
「じゃあ灯りか」
「そうなるな」
「人家だったら」
「休ませてもらえるか」
「中に入れてもらったらな」
 その時はというのだ。
「ひょっとしてそうしてもらえるか」
「ではだ」
「まずは灯りの方に行くか」
「そうしよう」
 二人で話をしてだ、そしてだった。
 実際に灯りのところに来た、すると二人の夜の暗がりに慣れた目に見えたものは複数の人家だった。人はいないが二人はそこが何処かすぐにわかった。村であると。


第三話   完


                         2017・1・19
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