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風魔の小次郎 風魔血風録
117部分:第十一話 武蔵の力その二
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第十一話 武蔵の力その二

「何を言っているんだ、一体」
「そういえばそうか」
「そうだ。だが」
 蘭子は蘭子で竜魔をちらりと見た。姫子もまた小次郎を見て微妙な顔になっているのには気付かない。竜魔に目も心もいってしまっていた。
「いや、忘れなくてはな」
 顔をそらした。彼女なりに努力していた。
「それでだ。今度のレシピだが」
「お料理はお菓子です」
「何っ、お菓子!?」
 兜丸がお菓子と聞いて思わず声をあげた。
「そりゃいいな。お菓子か」
「あれっ、兜丸さんって」
 姫子はその兜丸を見て述べた。
「ひょっとしてお菓子が」
「ええ、実はそうなんですよ」
 麗羅がここで姫子に答えた。
「兜丸さん甘いもの大好きなんですよ」
「焼芋も好きだしな」
 見れば彼が一番焼芋を食べていた。実に嬉しそうな顔で。
「お菓子も好きなんだよな、実は」
「そうか、お菓子か」
 竜魔が今の兜丸の言葉を聞いてふと言ってきた。
「どうした、竜魔」
「次の料理対決ではお菓子対決だ」
「何っ、それは本当か!?」
「俺は嘘は言わない」
 はっきりと言い切ってみせる。これに関しては風魔の誰も否定することはない。長兄である彼がそれだけ信頼されているという何よりの証拠である。
「後で分けてもらえるかもな」
「よし、俄然元気が出て来たぞ」
 実際にガッツポーズをしてみせる兜丸だった。
「じゃあ武蔵の奴を全力で倒してそれから気持ちよくといくか」
「ちょっと兜丸さん」
 麗羅が笑いながらその兜丸に対して声をかける。
「だからって暴走しないで下さいよ」
「わかってるさ。じゃあよ、麗羅」
「はい」
「御前と俺で武蔵を倒す」
 役割分担の再確認だった。
「それで小次郎、御前はな」
「壬生の奴か」
「ああ、それでいいよな」
 小次郎に顔を向けて彼にも確認を取るのだった。
「あの二人が戦線離脱したら夜叉にとっては大きな痛手だからな。ここは何としてもな」
「そろそろ八将軍が復帰する」
 竜魔はこのことを完全に頭に入れていた。
「八将軍も手強いがあの二人がいるといないのとでは大きく違うからな」
「そうですね。だからここは」
「頼むぞ」
 竜魔は麗羅に応えて三人に顔を向けて告げた。
「そして死ぬな」
「ああ」
「わかりました」
 二人は竜魔の言葉に頷く。そうして出陣した。二人と小次郎が出陣したその時。誠士館でもまた戦士達が出陣しようとしていた。
 夜叉姫の部屋において。武蔵と壬生が夜叉姫の前に控えていた。夜叉姫はその二人に対して厳格な顔で声をかけるのだった。
「今からですね」
「はい」
「今度の料理対決は我等二人です」
 二人は頭を垂れて夜叉姫に対して答える。
「相手は三人」
「兜丸と麗羅ですね、ま
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