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夢幻水滸伝
第三話 都へその九

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「そこで顔合わせをしてな」
「それからやな」
「これからの政治戦略の話をするわ」
「それでいよいよやな」
「動くで」
 その目から強い光を放ってだ、芥川は言った。
「ええな」
「ああ、ほなな」
「朝廷、御所に入るで」
「今からな」
 三人は人々に手を振ってもらいつつ御所に入った、御所の正門には黒い具足と槍で武装した足軽達がいた。その彼等も中里達に挨拶をしてきたので三人で返礼をした、その後で。
 御所に入る、御所は檜で造られていて質素な造りだが気品があった。中里は草履を脱いで中に入って見回しつつ言った。
「平安時代の御所やな」
「そのままって感じやろ」
「それか室町の花の御所とかな」
「あんなのやな」
「二条城とかな」
 中里は三人で歩きつつ芥川にこの建物の名前も出した。
「そんな感じやな」
「そう言うと思ったわ」
「実際にそうした造りやねんな」
「この御所はな」
「あまり護りは堅そうやないな」
 中里はこんなことも言った。
「これは都全体もやけど」
「さっきの話やな」
「地の利全体で守ってるんやな」
「山でな」
 城壁ではなく、というのだ。
「それにここにはいつもそれなりの兵がおるしな」
「それで守ってるんやな」
「しかも大坂と姫路、安土、あと鳥取にええ城がそれぞれあるわ」
「天守閣付きのか」
「そういった城が国全体の守りの拠点になってるんや」
「都だけ守ってるんやないねんな」
「うちは基本城と人で守ってる」
 そうした戦略だというのだ。
「城もあるけど空からも敵が来るしな」
「城だけで守れんか」
「人も必要や、実際な」
「そういうことやねんな」
「まさに人と城や」
 芥川はこの言葉も出した。
「そのどっちもないと国は守れんし」
「攻めることもやな」
「出来ん、そやからな」
「人もか」
「城は守りだけやなくて物資や将兵の集積地の役割もあるしな」
「むしろ攻める時のやな」
「拠点って考えてる」
「ほな西に伸びるにはやな」
 そちらへの勢力拡大にはとだ、中里は考える顔になり芥川に返した。
「姫路や大坂の城を使うか」
「山陰もな」
「山陰は鳥取やな」
「やっとそこまで行けて城を築けた」 
 その鳥取城をというのだ。
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