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レーヴァティン
第三話 生きるか死ぬかその六

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「それを考えるとな」
「ここはか」
「奴隷がいる可能性が高い」
「じゃあ下手に肉体労働を志望したらか」
「奴隷になる」
 文字通りのそれにというのだ。
「ここに連れて来た連中が若し本当にいてだ」
「その連中が俺達に何かさせたいにしてもか」
「奴隷にさせるつもりならだ」
「相当性格の悪い奴だな」
「そうなる、そしてそんな思惑に乗りたいか」
「誰が乗るんだよ」
 久志は英雄に口を尖らせて反論した、その口は蛸を思わせるものになっていた。尖ってそうなったのは言うまでもない。
「そんな思惑」
「意地でも逃れるな」
「ああ、そうするな」
「そうだな、ではな」
「奴隷にならない様にしないとな」
「それも運命を変えることだ」
「つまり変に仕事は選ぶなってことか」
 現実社会にも言えることをだ、久志は自分で言った。
「そういうことか」
「そうだ、安易に仕事は選ぶな」
「色々と調べてからか」
「選べ、シャイロックだけじゃない」
 ヴェニスの商人の悪徳商人である、ただし彼よりもむしろ正しい側にいる者達のほ言うが悪辣なのかも知れないのがこの作品だ。
「むしろシャイロックなぞだ」
「生易しいか」
「そうした奴は何処でもいる」
 それこそというのだ。
「この世界でも俺達の本来の世界でもだ」
「普通にか」
「いてだ」
「騙して儲けようとしているんだな」
「悪事で生きている奴は悪事のプロだ」
 プロといっても様々である、何のプロであるかが問題なのだ。
「常にどうやって悪事をして儲けようかと考えている」
「そんな連中だからか」
「騙そうと思ってこちらに来る」
 最初からだ、まさに。
「そうした連中もいるならだ」
「注意してだな」
「仕事は選べ、話をよく聞いて契約書も細かいところまでチェックしてだ」
「仕事は選ぶてことか」
「何なら職場の現実も見てな」
「仕事に就くべきか」
「俺もそうするし御前もそうしろ」
 英雄は久志に鋭い目を向けつつ述べた。
「いいな、こちらの世界で生きるにしてもな」
「それじゃあ神殿に行って刀剣が抜けないなら」
「慎重にだ」
「仕事を選んでか」
「こちらの世界で過ごせ、いいな」
「わかった、それじゃあな」
 久志は英雄の話をここまで聞いて一つの結論を出した、その結論はというと。
「お金持ちの未亡人をゲットしてな」
「若くて美人のか」
「それで裕福に暮らすか」
「安心しろ、そんなことは有り得ない」 
 英雄は久志にこれまで以上にない強い否定の言葉で応えた。
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