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レーヴァティン
第三話 生きるか死ぬかその二

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「こうしないといけないんだな」
「そうした世界だな」
「そういうことなんだな」
「わかったな」
「ああ、殺しが嫌だとかな」
「言える世界ではない」
「文字通り生きるか死ぬか、そして」
 ここでだ、久志はある現実に気付いた。その気付いた現実はというと。
「こうした連中を下手に生かしたままにしておくと」
「他の人間が迷惑する」
「そういうことなんだな」
「世の中どうしようもない屑もいる」
 英雄は自分達が倒したならず者達の骸を見下ろしつつ言った。
「そうした奴等は消していかないとだ」
「多くの人が迷惑する、か」
「それが現実だ」
「それ考えてみたら俺達の世界でもだな」
「その通りだ」
 英雄は久志の今の言葉にもすぐに答えた。
「屑は消さないとだ」
「他の人が迷惑するんだな」
「どの世界でもな、世の中どうしようもない屑がいる」 
 英雄はまた言った。
「屑と呼ぶにも値しない屑がな」
「嫌な現実だが」
「嫌でも何でも現実だ」 
「それならか」
「受け入れるしかない、わかったな」
「ああ、じゃあな」
「この連中は森の中にでも放り込んでおけばいい」 
 ならず者達の骸はというのだ。
「道に放ったままでは通行人の邪魔だ」
「それになるか」
「しかも死体から病原菌が出て伝染病の素だ」
「ああ、そうだな」
「腐った死体からそうした病気も出る」
「だからか」
「この連中は森の中に放り込む」
 こう言うのだった。
「そうすれば森の生きものやら虫が食ってくれる」
「それで死体処理になるか」
「埋めようと思えば時間がかかるが」
「森の中に放っておけばか」
「生きものや虫が食ってそして土に還る」
「道を行く人の邪魔にならないでしかも伝染病の原因にもならない」
「だからだ、運ぶぞ」
 久志を見てそして告げた。
「流石に一人で運べない」
「ああ、そういう話ならな」
「手伝ってくれるか」
「そうさせてもらうな、しかし御前な」
 骸達を森の中に放り込んで自然に戻し邪魔にもならず伝染病の素にもならない様にするという英雄の考えを受けてだ、久志は笑って言った。
「案外いい奴だな」
「そう思うか」
「他の人の迷惑まで考えてるんだな」
「これ位は普通だ」
 これが英雄の返事だった、表情も変わっていない。
「伝染病なぞ流行ったらたまったものではない」
「それはそうだな」
「ここは西洋的だからペストになるか」
 鼠のダニを媒介として流行する伝染病だ、欧州で猛威を奮い欧州の人口の三分の一を減らしたと言われている。
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