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決して折れない絆の悪魔
嵐の予感
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礼なんじゃないの?一夏は一夏でも、未来 一夏じゃないの……ミカ、久しぶりね、デーツある?」
「あるよ、ほら」

アリガトとデーツを受け取って口へと運ぶ鈴を百春は信じられない物でも見るかのような表情で見つめる。

「確かに私も驚いたわよ、一夏だ〜って。でも全く別人よ、こいつは未来院の未来院長の息子さんの一夏よ」
「えっ……そんな……鈴、までそんなことを……?」
「はぁ……あんたの兄貴好きもここまで行くと尊敬するわね。悪いわね、一夏、私のダチが迷惑かけて」
「気にしてねえよ、未来院侮辱されるよりマシだ」

気にしていないという言葉の後のそれに鈴は顔を青くしながらまさかと言いたげな表情をした。正に血の気が引いているような顔に百春は心配そうに駆け寄る、大丈夫かと声を掛けるが次第に鈴は身体を震わせ怒鳴り声をあげて百春に掴み掛った。

「アンタねぇぇ自分が一体何言ったのか理解してんの!!?」
「えっなんで怒ってるの!?何か悪いことしたのか俺!?」
「したに決まってるでしょ!!?ああもうなんでそんなに馬鹿でデリカシーの欠片も無いのよ!!信じられない!!」

鬼気迫った表情で胸元を掴んだまま壁へと押し当てつつ怒鳴り声をあげてくる鈴に百春は混乱していた、何故自分がここまで怒られなければならないのか、何故彼女が此処まで怒るのかが解らなかった。そしてなぜあれが自分の兄だと解らないのかという理不尽な怒りが沸いて来た。

「そっちこそ何で解らないんだよ!!一夏兄なんだよあいつは、俺の兄貴の一夏兄なんだよ!!!」
「だから違うって言ってるでしょうがよ!!それに話をすり替えようとしてんじゃないわよ、アタシはなんでそんな事を言ったのかって言ってるのよ!!!」
「なんだよ、言っちゃいけないのかよ!!!」
「当たり前でしょう!!!あそこがどんな場所かも知らないからそんなことが言えんのよ!!!!」

鈴は百春を壁へと突き飛ばした、そしてミカ達の元へと近寄り頭を下げた。

「ごめん、あんな奴だったなんて……アタシが蹴り、付けるから」
「期待しとくよ」
「んじゃ任せた」
「ええ任せて……百春」

鈴はキッと怒りの瞳で百春を睨み付ける、その鋭さに百春は怯んでしまう。

「アタシは許さないから。未来院を、ダチの家を家族を馬鹿にするなんてアンタだろうと絶対に許さないから!!」

そういうと乱暴に扉を開けて1組から去って行った、まるで嵐のようだった。鈴が去った後はシーンとした空間が広がりセシリアも思わずポカンとしてしまった、だが鈴が未来院について詳しく知っていてミカ達と友好的な関係であることは理解出来た。

「また、荒れそうですわね……」
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