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感傷旅行
第二章

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「鎌倉でも行く?」
「ああ、鎌倉だね」
「そこに二人で行って」
「それで旅行をして」
「最後にね」
「そうしましょう」  
 二人で話してだ、最後に鎌倉で旅行をすることになった。それからは二人で連絡を取りながら一緒に行ける日と宿泊出来る旅館を探した。
 鎌倉に行くにも季節外れで旅館はすぐに見付かってしかもこうした時に限って二人共暇でだ、そのせいで時間もあった。そして。
 東京駅で待ち合わせをしてだ、私は先に来ていた彼のところに来て少し苦笑いになって言った。
「時間があるなんてね」
「こうした時にはね」
「因果なものね」
「全くだよ」 
 彼も苦笑いで私に答えた。
「こうした時にはなんて」
「若しお互いに時間があったら」
 私はふとこうも思った。
「若しかしたら」
「まあそれはね」
「言わない方がいいわね」
「もうお互い気持ちがなくなっているから」
 だからというのだった。
「言ってもね」
「仕方ないわね」
「そう、だからね」
「そうしたことは言わないで」
「行こうね」
「今からね」
 その鎌倉までだ、こう話してだった。
 私達は二人で鎌倉行きの電車に乗った、鎌倉まで思ったより速く着いた。旅館まで行って部屋に荷物を置いて。
 街に出た、そしてだった。
 二人で鎌倉の街を回る、街は観光シーズンでないので人が少なくて行き来が楽だった。
 けれど私はその鎌倉の街を見回してだ、隣にいる彼に言った。
「寂しい感じね」
「そうだね」
 彼はこう私に答えた。
「僕もそう思うよ」
「何かね」
「鎌倉には何度も来てるけれど」
「妙に寂しいわね」
「シーズンじゃないからかしら」
「それもあるし」 
 一緒に鎌倉の街を歩きながら私に言った。
「こうした旅行だから」
「そのことが大きいわね」
「やっぱりそうだろうね」
「そういうことね」
 私はここで少し俯いた、自然とそうなった。
「だから寂しい感じがするのね」
「そうだね、気温も何かね」
「寒い感じだし」
「それでもね」
「ええ、折角来たから」
「色々回ろう」
「そうしましょう、夜は」
 彼に夜のことも話した。
「旅館でね」
「食べようね」
「海老頼んだから」
 鎌倉名物だ、伊勢海老をこちらでは鎌倉海老と呼ぶからそれを頼んだ。
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