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レーヴァティン
第二話 異世界その四

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「見ていて切り捨てたくなる」
「じゃあ」
「気に入らない奴が切られるのなら切る」
 これまでより鋭い目になってだ、彼は言った。
「それだけだ」
「素直じゃねえな」
「俺がか」
「ああ、素直に人助けをしたいって言えなら言えよ」
「だからそうしたつもりはない」
「御前の言っていることを聞けばそうだよ」
 そうなるというのだ、久志の見立てでは。
「俺は困っている人を助けないとな」
「いてもたってもいられないか」
「義を見てせざるはっていうだろ」
「知らんな。自分のことは自分でという言葉なら知っているが」
「その言葉は俺も知ってるがな」
「そして俺はその考えだ」
 やはり言葉は素っ気ない。
「自分のこと位自分でしろ」
「やれやれだな。しかしな」
「御前は困っている人達を助ける為にか」
「ちょっと神殿に行って来る」
 そうするというのだ。
「そして困っている人達を助けられたらな」
「その刀なり剣なりでか」
「やってやるさ」
「好きにしろ、そうしたいならな」
「そう言う御前もだろ」
「言ったな。俺は自分が弱い癖に弱い奴をいたぶる奴が一番嫌いだ」
 彼の考えではそれが暴力になる、そして暴力を忌み嫌っているのだ。
「見ているだけで反吐がてだ」
「切りたくなるか」
「そうなるからな」 
 だからだというのだ。
「その力を手に入れられるなら」
「それならか」
「行く、俺もな」
「本当に素直じゃないな、御前は」
「嘘は嫌いだと言った」
「それでもだよ、まあとにかく神殿まで行くんだな」
「そうする」
 返事は一言だった。
「抜けられるのなら抜いてやる」
「よし、じゃあ一緒に行くか」
「何故そうなる」
「ここで会ってしかも同じ場所に行くからだよ」
 久志は単純明快に言った。
「これも何かの縁、そうしようか」
「強引な奴だ」
「けれどそっちの方がいいだろ、巨人やらドラゴンやらが出てな」
 そうしてというのだ。
「随分物騒な世界らしいしな」
「一人よりも二人か」
「結局そうなるだろ」
「俺は一人で全く平気だ」
「だからそこでそう言うなよ」
「しかし貴様がたまたま隣にいるなら気にしない」
 英雄はここでも素っ気なく言った。
「そしてだ」
「神殿にまでか」
「行くか」
「よし、じゃあな」
「ではです」
 二人の話が決まったと見てだ、神父は二人にあらためて言った。
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