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ひょうすべ
第三章

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「やっぱりこうなったね」
「?やっぱり?」
「またそう言うけれど一体」
「どうなったんだい、これは」
「すぐに病院に行こう」
 いぶかしむ仕事仲間達にだ。隆はこう言った。
「いいね。そうしよう」
「うん、何か凄く熱いしね」
「これはかなりの体温だよ」
 仕事仲間達は抱えている雅道の身体の熱さに驚きながら言った。
「ついさっきまで元気だったのに」
「またどうして急に」
「笑っただけなのに」
「笑ったから駄目なんだよ」
 隆はいぶかしむ彼等に述べた。
「あいつ相手にはね」
「あいつ相手って」
「あいつのことを知ってるのかい?」
「そんな口調だけれど」
 仕事仲間達は熱でへたれ込んでいる雅道を支えながら共にそうしている隆に問うた。
「あの猿みたいなのを」
「もう何処かに行ったけれどね」
 見ればもうその猿みたいなのは何処かに消えていた。先程まで目の前にいたが。
 その猿みたいなのを周囲を見回して探すがやはりいない。そうしながら隆に問うたのだ。
「あれは一体何なんだい?」
「猿じゃないみたいだけれど」
「あれはひょうすべなんだ」
 老婆に言われたこの名前をだ。彼は話した。
「ひょうすべっていうね。妖怪なんだ」
「あれは妖怪だったんだ」
「そうだったんだ」
「うん、僕もこの目で見たのははじめてだよ」
 そうだとだ。隆も周囲を見回してそうしてそのひょうすべを探しながら言う。
「実際にいるなんてね」
「そうか、僕達は妖怪に会ったのか」
「まさか妖怪に出会うなんてな」
「いや、妖怪が本当にいたなんて」
「そのこともびっくりするけれど」
「詳しい話は後で」
 それでだとだ。隆はあらためて仲間達に話した。
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