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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十三話 大きな誤算なのです。
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帝国歴487年8月10日――。

ラインハルトとキルヒアイスは久方ぶりにアンネローゼのもとに赴き、2階のテラス椅子に座って姉の作ったケーキやパイを食べている。イルーナ・フォン・ヴァンクラフトとアレーナ・フォン・ランディールも同席している。少し前まではウェストパーレ男爵夫人、シャフハウゼン子爵夫人もいたのだが、二人とも今は下がっている。
 あの襲撃事件があったのち、アンネローゼの身柄は近衛歩兵1個中隊が警護することとなったが、依然として身柄はノイエ・サンスーシにあった。ラインハルトとキルヒアイスとしてはそれは面白くないが、皇帝が生きている以上は姉の身を取り返すわけにはいかない。「いつか黒真珠の間に押し入り、彼奴が犯した罪の重大さをその身に刻み込んでやる!!」というのが、キルヒアイスを前にしてワインを飲むときのラインハルトの近頃の口癖だった。
 それはそれとして、5人の話は政治、軍事に関して一切触れることなく、過ぎ去った過去の日々に思いをはせることに終始した。
「ラインハルトは効かん気が強くて・・・・。」
アンネローゼはけぶるような微笑を浮かべて、弟を見た。
「覚えていて?あなたはいつもこの二人にチェスを挑んで、そのたびに負かされて泣きながら私のところに帰ってきたのよ。」
「嫌だなぁ、姉上。今更そのような話を掘り返すのはやめていただけませんか?私はこれでも帝国元帥なのですよ。そのような話が知れ渡ってしまうと、部下に示しがつきません。」
「あら、若き帝国元帥閣下はそのような取るに足らないことでもお気になさるのね?」
ピーチ・パイを切り分けながら、アンネローゼが珍しくラインハルトをからかう。いつだったか、パイを爆発させたことをラインハルトたちはまだ覚えていて、ピーチ・パイが出てきた瞬間に開口一番それを言ったことをまだ根に持っているのである。
「一応私はラインハルトの麾下にいるのだけれど?」
イルーナが笑いながら言う。
「でも、私はあなたに対しての勝率を他の人に言ったりはしないわよ。私が87勝7敗していることは。」
「ひどいなぁ!」
ラインハルトのしかめっ面が余りにも真に迫っていると、ひとしきり5人が笑う、いや、アレーナに至っては爆笑寸前である。
「不思議よね〜。あなたは何をやっても超一流なのに、どういうわけかチェスに関しては私たちの方が強いんだから。ちなみに私は98勝6敗だけれど。」
と、アレーナ。なんかどっかの誰かさんを思い出すわ、と内心つぶやきながら。
「ですが、そのお二人もアンネローゼ様にはかなわなかったと私は覚えております。」
キルヒアイスが言った。とたんにアレーナが渋い顔になった。
「ええ、あんなに挑んでも全敗だったわ。イルーナも似たようなものよ。そのくせラインハルトは勝ってたわね。だから三つ巴でちょうどいいなんて言
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