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テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
2.大淀、演習場に立つ
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て敵を!!!

 これは案外アリなのかもしれない……今度の対空演習の時、『距離を詰められた時の切り札』として、提督に提案してみようか。対天龍さん兵装として使えそうだ。

「シャキーン」
「赤城さん?」
「あ、いや失礼」

 そんなこんなで、大淀さんととりとめのない話をしながら待つこと1時間。一隻のクルーザーが到着した。体格のよい、制服姿の屈強な男性が二人がかりで、大きな木箱がいくつか降ろされていく。無骨なつくりの木箱の一つひとつには、『危険! 艤装在中!!』と書かれてある。こんなバレバレの梱包でいいのか。これでは機密情報が駄々漏れだ。

「まぁ、戦争も終わりましたし、この荷物を狙う人もいませんしね」

 大淀さんが受け取り票に提督の名前を書き、提督の認め印を押して、荷物を運んできた男性と一言二言言葉を交わした後、敬礼をして送り出していた。

「女房役……」
「? 何か?」
「いえ……」

 なんだか、旦那さんの代わりに宅急便を受け取る主婦みたいだなぁ……と私はその時思った。なんだ。指輪を受け取るまでもなく、二人はもう夫婦なんじゃないか。役割的な意味で。

 海軍のクルーザーが去ったのを確認した私たちは、しずしずと木箱を開封していく。木箱の中はたくさんの緩衝材が詰められている。その緩衝材に守られるようにして、艤装が姿を表した。磨かれた金属の鋭さと輝きをたたえた艤装たちが、大小さまざまな木箱から姿を表していく。

「大淀さん。あなた、艦種は軽巡でしたよね?」
「ええ。そうですよ?」
「その割には、随分と艤装が大きい気が……」
「まぁ、私の元になった艦そのものが結構大きいですからね」
「なるほど」

 二人で十数分格闘し、すべての艤装が姿を表した。私達艦娘は、基本的に艤装をすべて装備した状態で建造される。だからこうやって艤装だけを改めて準備し、装備するという機会があまりない。故に私にとっても、この光景は新鮮だ。

「あ、赤城さん……」
「?」
「い、いいんでしょうか……私が、その……これを、使っても……」

 大淀さんは大淀さんで、別の意味で違和感を覚えているようだ。長い間、任務娘として過ごしてきた彼女には、これまで自分用の艤装というものはなかった。そのことに対し、彼女が引け目を感じていたのは知っている。私達が最前線で命がけの戦闘をしている中、自分だけが安全なところで指を咥えて見ていることに、ある種の申し訳無さを感じていたことは、私たちもよくわかっている。

 そんな自分が、艦娘として皆と肩を並べて戦う立場になれる喜びと、そんな自分が艤装なんてものをつけて戦ってもいいのだろうかという葛藤を感じているようだ。

「いいんですよ。この艤装は、あなたの艤装なんですから」
「でも……私、今までず
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