第六十二部第四章 選挙前日その九
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「選挙はこれで終わりではない」
「それではここは」
「次につなげるのですか」
「敗北は決まっていますが」
「それでも」
「そうだ、負けるにしてもだ」
カミュもこう言うのだった。
「負け方があるな」
「はい、出来るだけ議席を守る」
「そうあるべきですね」
「その通りだ、このままではギルフォード侯爵が総統になり」
そして、だった。
「その議会もだ」
「貴族院も平民院も制す」
「上下両方ですね」
「それも確実ですが」
「それでもですね」
「過半数を制せられてもだ」
それでもだというのだ。
「その制し方がある」
「ぎりぎりならですね」
「何とかなりますね」
「三分の二なら厄介ですが」
「そこまでなってはならないということですね」
「そうだ、過半数は取られてもだ」
それでもと言うカミュだった。
「三分の二はだ」
「取らせない」
「それだけの議席は」
「そこは死守してだ」
改革派としても、というのだ。
「そのうえでだ」
「次の選挙に挑みますか」
「その次に」
「そしてだ」
さらに言うカミュだった。
「選挙の後で党内をまとめる」
「我等改革派の」
「それを」
「そうだ、大敗の後は党が乱れる」
このことは往々にしてよくある、民主政治では選挙の敗北がそのまま責任問題上層部のそれになるからだ。
そして責任の追求のし合いになる、カミュはこのことを見越してそのうえで今も話しているのである。
「だからだ」
「それを防ぐ為に」
「党内をまとめますか」
「分裂を避ける為にも」
「効果的に」
「敗北の責任はだ」
それの所在はというと。
「私が取る」
「閣下がですか」
「そうされるのですか」
「そのつもりだ」
まさに、というのだ。
「私以外にそれはいるか」
「内相以外にですか」
「選挙の敗北の責任を」
「いるか」
あらためて問うカミュだった。
「総統選挙に出ている私以外に」
「そう言われますと」
「いるにはいると思いますが」
選挙対策委員長や党内の職務にある重役達だ、彼等にも責任があると言えばかなりある。しかしだった。
「ですが閣下は党の総裁代理です」
「そうしたお立場ですから」
「やはり責任があるかといいますと」
「やはり」
「そうだな、だからだ」
その立場から言うのだった。
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