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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四話 アルレスハイム星域の会戦
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い」
「食堂へ行きましょう」
私が呼びかけるとヴァレンシュタイン中尉は振り返る事無く返事をしてきました。食堂に行くと適当なテーブルに座ります。

「あれは、本当の事なのですか?」
「あれと言うのは情報漏洩者の事ですか?」
私が頷くと中尉は微かに苦笑を浮かべました。

「さあ、どうでしょう。本当かもしれませんし嘘かもしれない。私は可能性を指摘しただけです」
「可能性……」

「今、同盟軍はヴァンフリート4=2において後方基地を建設しています。ヴァンフリートはイゼルローン回廊に近い、イゼルローン要塞攻略の戦略拠点にするつもりなのでしょう」
「本当なのですか、私は知りませんが」
本当だ、とでも言うように中尉は頷きました。

「この基地建設には補給担当部はまったく関わっていません。基地を建設しているのは基地運営部です。物資の手配から輸送船の運航まで全て基地運営部が行なっています。そして極秘扱いとされている」
「……極秘ですか」

「おかしいですね、少尉が知らないのは。少尉は以前は基地運営部に居たと思いましたが?」
「……意地悪です、中尉」
中尉はニコニコしています。私が基地運営部に居なかった事を中尉は知っているのに。相変わらず意地悪です。しかし、どうやって知ったのでしょう? まさか、やはり中尉は……。

「違いますよ、私はスパイじゃ有りません。物資の流れと輸送船の動きに不自然な点があったので調べたのです。膨大な量の資材がヴァンフリート4=2に送られている。そして管理しているのは基地運営部、となれば基地を建設しているという答えが出ます」

いつも思うのだけれど、中尉はとても他人の心を読むのが上手です。それとも私は表情が出やすいの?
「同盟軍は帝国の眼をヴァンフリートから遠ざけたい、だからアルレスハイムへ艦隊を動かしました。御丁寧にスパイの可能性がある私まで乗せてです。バグダッシュ大尉はまだ私を疑っているようですね。私がスパイなら帝国の注意はアルレスハイムに向くと考えた。キャゼルヌ大佐もそれに同意した……」
「……全部分かっていたのですね、あの艦隊の事も知っていたのですか?」

私は今、恐ろしい事を考えています。この戦闘は全て中尉が演出したのではないでしょうか?
「さあどうでしょう」
ヴァレンシュタイン中尉が柔らかく笑みを浮かべました。有り得ない、有り得ないと思うけどそれでも疑念が湧いてきます。

「まあ、今回の件で大尉も私に関わっている暇は無くなるでしょう。軍の中枢部にスパイが居る可能性が出てきたのですからね。その可能性の真偽を確認するまでは同盟軍は思い切った軍事行動など出来ません。情報部は必死になるはずです」
「……」

「少尉、バグダッシュ大尉に伝えてください。大分暇なようなので仕事を作って差
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