45部分:魔剣その六
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魔剣その六
この時解放軍はダーナの南へ到着していた。その目の前では傭兵達が二手に分かれ争っていた。
ブライトンは大型の斧を両手に持ち右に左にそれを振り回す。肩や頭を叩き割られ、胸や脇腹に一撃を受けた傭兵達の血で周りが血に染まっていく。
マチュアが女とは思えぬ膂力で鋼の大剣を片手に暴れ回る。剣を敵兵に突き刺すとその胸を蹴りながら剣を引き抜き右に薙ぎ払う。二人の敵の首が飛ぶ。
二人共一騎当千の強さである。だがその二人をも凌駕しているのがダーナへ向けて突き進む黒い軍服の男だった。彼が手にする大振りの剣が疾風の様な速さで煌く。
「な、何だあれは!」
そのあまりの剣技に肝を抜かれたレスターが男を指差した。
「馬ごと人を両断している。あんな奴は初めて見た」
普段は落ち着いた態度のラルフも驚きの表情で目を見張る。
「それにしてもあの男の持っている剣は何だ?えらい業物だが・・・・・・」
シヴァまでもが目を見張っている。黒い男の周りが紅に染まっていく。
「オイフェさん、どうします?参戦しますか、それとも傍観しますか?参戦するならどちらに・・・・・・」
上からのエダの問いかけにオイフェは少し眉を動かした。そして高々と右手を上げ言った。
「騎士は困っている者、追い詰められている者を見棄てはしない。全軍あの黒服の男達を助けるぞ!」
「おお〜〜〜っ!」
普段はオイフェの全く融通の利かない騎士道精神に辟易していた一同も今回ばかりは賛同した。武器を構え傭兵達へ突進していく。
漁夫の利を狙っていた筈の解放軍に逆に急襲されたジャバローの傭兵部隊は大混乱に陥った。アレスはその間に囲みを突破し一路ダーナへ疾走した。
城壁が見えてきた。馬足を緩める事無くそのまま突き進む。
城門を越えた。行く先は本能的に解かっていた。
大通りを一直線にブラムセルの館へ駆ける。扉が見えた。その時扉の前に奴がいた。
「痛ててててててて・・・・・・。あの小娘無茶苦茶しおって・・・・・・」
病院に行っていたらしい。身体中に包帯を巻き従者達に支えられてヒィヒィ言いながら扉を開かせる。
「この傷が治れば思い知らせてくれる。覚えておれよ」
館に入ろうとする。その時だった。地響きの様な蹄の音にふと大通りの方を振り向いたブラムセルの顔が凍りついた。
「な・・・・・・・・・」
美しい顔をベルセルクの様にしたアレスがブラムセルへ向けて突き進んで来る。ミストルティンが振り上げられる。
「貴様っ!」
魔剣が一閃される。ブラムセルは凍りついた表情のまま動かなくなった。身体が左右にゆっくりと割れていき霧の様な鮮血が真中に残ったが地に落ち血溜りとなった。
馬を飛び降りた。そのまま館へ入った。
「リーーン!」
恋人の名を叫びながら館の中を捜し
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