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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第74話 少しだけの過去
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万華鏡のようにキラキラと輝く不思議な瞳を持つ少年『ララ』と友達になった食蜂は毎日部屋に訪れるのが日課となった。
施設からはおろか部屋から許可無く出る事が禁じられている彼にとって四角に区切られた部屋とビル陰となっているわずかばかりの窓からの景色が世界の全てだった。

既に遊び古された玩具に代わり食蜂が毎度楽しめそうな物を見繕っては持参してい来ている。
今回は『シャボン玉』だ。
石鹸水にストローのようなノズルを差し込んで膜が出来るのを確認すると息を吹き込む。
強く吹くと膜は破れ、弱いとシャボン玉が大きくなり重力の影響からノズル付いたまま瓢箪のような形となり折れ下がる。
雫が先細りの一点からポタポタと垂れた後にパチンと弾ける。

シャボン玉の寿命を延ばすには過剰な空気でも過少な空気でもなく、程よい空気の圧や適切な量の空気であることを学ぶ。

部分的に外界と遮断されたララにとっては世界の外から齎される全てが奇想天外らしく、親元から上手く独り立ちしたシャボン玉を見ては妙に懐かしく感じた。
本来『懐かしい』は過去にだけ存在するのではなく今現在に自分が存在している状態を指すのだと思う。

あのシャボン玉は自分が生み出したモノなんだ

浮かんでいるシャボン玉の振る舞いに込み上げるものを感じて少し興奮したように見上げていた。

「わー」

はぁ......
なんで私がこんなことぉ......
何が面白いんだか

ララは容器に入った石鹸水に無策で空気を吐き出すと水面からボコボコと泡が立つ事に気が付き、世紀の発見をしたかのように感じて、立証するように何度も強弱を付けながら炭酸よりも荒い泡を生み出して容器から溢れださせる。
強い息では膜が千切れてしまうだけだが、膜が生み出されるこの中では強く吹こうが層となっている膜に包まれていく事に気が付き、好奇心に頬を緩ませると息を思い切り吸い込んだ。

次の瞬間には石鹸水の中から噴火が起きて一気にララの顔全体が泡だらけとなる。
「?っぷ?」

「あぁも〜何やって......プッ!」

泡がコミカルな髭の形を取っていて、要領を得ない表情で座り込んで泡を覗いている間抜けな姿のララに食蜂は思わず吹き出してしまった。
「ふふっふふふ......あはははははっ」
「どうかしたの?」
「アナタ本当に中学生?」

渡されたタオルで顔や頭を拭きながらララは少しムスッとしながら答える。
「むー、そうだよ!ゼツにそーいわれているから!!でもガッコウには行った事ないんだけどね」

「ぜつ?」
「居たと思うけど.....あのトゲトゲのアロエみたいな人」

あー
あの気持ち悪いのねぇ

ララはガッコウだけではなかった
彼はこの部屋から出る自由はなくひたすらに身体と能力を大きくす
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