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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第163話 トリステインは今
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「まぁ、ゲルマニアとしては新しく得た領土の保全を一番に考えたいのだろうから――」

 積極的に動くのはこれから先になるのかね。
 かなり呑気な雰囲気のイザベラの言葉。右手には、今まさに飲み干したばかりの湯呑みから微かに湯気が上がる。
 う〜む。何となくなのだが、平和だね〜、などと言うかなり場違いな台詞が次の瞬間に発せられそうな雰囲気。しかし、現状はどう考えてもゲルマニアに積極的に動かれると万単位の敵兵に侵入して来られる可能性が高くなると思うのだが……。

 ここガリアは大陸国家。此方から相手の国内に積極的に攻め込む心算がない以上、相手がその気になればガリア国内を泥沼の戦場にされる危険性も高くなる。まして相手は宗教をバックにした狂信者の集団と言っても良い、中世ヨーロッパの十字軍。こいつ等に俺が考えているレベルの真面な補給の二文字はない。
 無防備な都市に乱入して好き放題に(神の御心に従い)略奪を繰り返すのは間違いないのだが……。

 一般的なガリアの民。特にゲルマニアとの国境付近の街に暮らす民の立場から考えると、噴飯もののイザベラの態度や雰囲気に少し眉根を寄せる俺。
 ただ……。

 ただ、ハルケギニアの科学のレベルから言うと、真っ当な軍隊ならそいつ等が装備している武器は金属製。更に、ガリアに侵攻して来ると言う事は、俺やタバサがガリア王家の名の元に精霊と契約した地に侵入して来ると言う事なので、敵の魔法の発動はかなり難しい。系統魔法ならほぼ不可能。
 これでガリアの兵を害する事が出来ないのは、開戦から今までの経験則でイザベラは知っているはず。更に言うと、現状のガリアの諜報能力なら攻め込んで来る軍隊の規模が大きく成れば成るほど、見逃す可能性は低くなるので対処は立て易くなる。
 ……なので、現状ではゲルマニアの本格的な武力侵攻が差し迫った危機として彼女が捉えられないのは分からなくはないのですが。

 もっとも――

「……と言う事は、アルザス地方はほぼゲルマニアの勢力圏に落ちたと言う事ですか」

 嘆息するかのように大きく息を吐き出しながら、そう言う俺。
 確かに霊的な意味で言うのなら、兄王を弑逆(しいぎゃく)して王位を奪ったアルブレヒトが精霊に認められた王と成っている可能性は薄い。……なので奪われた地を、ゲルマニアから取り返すのは然して難しい事ではない。
 そもそも系統魔法を行使する人間を王と認める精霊はいないでしょう。
 確かに精霊は仕事を依頼される事を喜ぶ。但し、系統魔法のように、完全なる隷属を強いられて喜ぶ存在は……居ない事もないが、それでも数は少ないと思う。更に言うと、系統魔法と言う魔法は理を捻じ曲げ、精霊の持っている全ての力を使い尽くす事を要求する魔法でもあるので……。

 おそらく、聖スリーズこと、
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