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お留守番
第八章

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 携帯の電話番号とメールアドレスを高官した、それが終わるとだった。玄関が開く音がして茉莉花の両親が帰って来た。
 そしてだ、二人がいる居間に入って来て言ってきた。
「ちゃんと留守番してたか?」
「喧嘩しなかった?」
 二人に笑って言ってきた。
「ちゃんとお昼食べたか?」
「どうだったの?」
「何もなかったわ」
 茉莉花は両親にしっかりとした口調で答えた。
「お兄ちゃんしっかりしてたから」
「そうか、太介君しっかりしてたか」
「ちゃんと茉莉花を守ってたのね」
「ええ、お兄ちゃん頼りになったから」
「いや、茉莉花ちゃんの方が」
 その言葉が現実と違うと思ったのでだ、太介は彼女の両親に話した。
「しっかりしててお料理だって作ってくれてお菓子も出してくれて」
「インスタントラーメンだから」
 素っ気なくだ、茉莉花は返した。
「あれ位は誰でもよ」
「そう言うけれど」
「普通だから」
「ははは、茉莉花も頑張ったか」
「偉いわね」
「偉いのはお兄ちゃんだから」
 また太介のことを言うのだった。
「本当に今日は助かったわ」
「そうか、じゃあまた何かあったらな」
「その時はまたお留守番頼むわね」
「そうしていいんですか?」
「ああ、いいぞ」
「私達はね」
「私もよ」
 茉莉花も言ってきた。
「宜しくね」
「それじゃあ」
 太介は茉莉花の言葉に頷いた、そしてだった。
 この日は留守番を終えて茉莉花の家を後にした、家族で玄関まで送るがこの時だった。茉莉花は太介に言った。
「お兄ちゃん、またね」
「うん、またね」
「来てね」
 表情はないままだ、しかしだった。
 太介の目をじっと見ていた、太介はその視線にどきっとしたがそうしてだった。茉莉花の視線を気にしたまま家に帰った。
 この時はこれで終わったが。 
 この日から太介と茉莉花はその距離を縮めていった、そしてやがては従兄妹同士で交際し結婚に至った、全てはこの日の留守番からはじまったのだった。


お留守番   完


                        2016・10・19
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