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第四章

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「俺はあの娘とは合わないな」
「あまり話しないな、御前とあの娘」
「実際にそうだな」
「やっぱり合わないか」
「どうしてもか」
「何もしないけれどな」
 合わないからといってだ、翔平はまりあに嫌がらせ等はしないというのだ。好きではない相手であろうともだ。
「別に」
「意地悪とかとはか」
「別にか」
「そういうことはしないな」
「御前はそんな奴じゃないな」
「ああ、腐った奴にはなるか」
 絶対にとだ、翔平はそうした輩についてはまりあに対するよりも遥かに強く眉を顰めさせて言った。それも言い切った。
「屑の真似はしないんだよ」
「そこは絶対だよな」
「何があってもしないな」
「そこも御前らしいな」
「腐ったことはしないことはな」
「だから話をしないだけだよ」
 自分から積極的にというのだ。
「合わないなら合わないだけさ」
「まあそういうことか」
「結局合わないなら仕方ないか」
「羽生田ちゃんにも御前にもそうした相手がいる」
「そういうことか」
「ああ、まあとにかくな」
 翔平はあらためて言った。
「俺はあの娘は好きじゃない」
「やっぱり合わない」
「そういうことか」
 翔平の友人達も納得した、まりあを快く思わない人間もいてそれが翔平だということをだ。このことはまりあも女の友人達から聞いていたが特に何も言わなかった。
 そんなある日だ、翔平はクラスであるものを拾った、それは可愛らしいピンク色のある企業のキャラクターが描かれたシャープペンシルだった。
 そのシャーペンを拾って手に取ってだ、翔平は言った。
「これ誰のだ?」
「柄からして女の子だろ」
「女の子のだろ」
「目の赤い兎のマスコットか」
「これ確かレディ何とかのキャラだぜ」
 男のクラスメイト達が口々に言った。
「こういうのはやっぱり男は持たないぜ」
「女の子のやつだろ」
「多分このクラスの娘のだろ」
「誰かまではわからないけれどな」
「そうだろうな、おいこのシャーペン知らないか?」
 翔平はシャーペンを自分の右手に持って掲げてクラスの面々に尋ねた。
「今俺が拾ったんだけれどな」
「あれっ、そのシャーペンは」
 女子の一人が翔平の手にあるそのシャーペンを見て言った。
「確かまりあちゃんのよ」
「えっ、羽生田ちゃんのか」
「それはちょっとまずいな」
 男子生徒達はその娘の言葉を聞いてことの厄介さを察した。
「翔平と羽生田ちゃん仲悪いっていうかな」
「翔平羽生田ちゃん好きじゃないからな」
「これはまずいな」
「どうなるんだ」
「渡すだけだよ」
 翔平はこれからのことが不安になった彼等に断った。
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