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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
巡航艦ツェルプスト艦長兼第1巡察部隊司令 (その3)
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ンクを開けることが出来た。トランクの中には包装紙に包まれた黒い動物の毛皮が入っていた。かなり大きい動物の毛皮だ。思わず皆、顔を見合わせることになった。

「中佐、これは……」
「……」
「何か動物の毛皮のようですが……」

俺は困惑とともにヴァレンシュタイン中佐を見た。兵達も皆困惑している。しかし中佐は珍しく厳しい表情で毛皮を睨んでいた。どういうことだ、この毛皮に心当たりが有るのだろうか?

「ワーレン少佐、少し暗くしてもらえますか」
暗く? 不審に思いながらもトランクのふたを閉めるようにして光を遮る。

「こ、これは!」
「光っている!」
口々に皆が騒ぐ。毛皮は微かに青い燐光を放っていた。

「やはり、トラウンシュタイン産のバッファローでしたか」
溜息交じりのヴァレンシュタイン中佐の声が流れた。
「ヴァレンシュタイン司令、トラウンシュタイン産のバッファローと言えば」
思わず声が掠れ気味になった。

「ええ、御禁制品です。とんでもないものが出てきましたね、ワーレン少佐」
にこやかに微笑む中佐を見ながら、それどころじゃないだろう、と俺は内心で毒づいた。



帝国暦484年 5月23日 交易船 パラウド  エーリッヒ・ヴァレンシュタイン


トラウンシュタイン産のバッファローか、こりゃまたとんでもないものが出てきたな、御禁制品だ。周囲を見渡すと皆怯えたような顔をしている。ワーレンも何処か引き攣ったような表情だ。俺も似たようなものかもしれない。

フェザーンの傍にアイゼンヘルツという星系がある。銀河連邦時代にはこの星系は見つかっていない。銀河帝国になってから発見され開発された。惑星トラウンシュタインはアイゼンヘルツ星系にある惑星だ。

酸素は有るのだが酷く寒冷で人が住むには適さない。そのため発見当初から入植して開発するという選択肢は放棄された惑星だ。しかし人が住めなくてもトラウンシュタインには鉱物資源がある可能性が有った。

トラウンシュタイン独特の風土病を調べるため、それを理由に寒さに強い動物がトラウンシュタインに放たれた。人間ではなく牛や馬でそんな事が分かるのかと俺は思うのだが、牛や馬が住めないような惑星では人が住めるわけが無いというのが当時の帝国上層部の考えだった。大胆というか大雑把というか判断に悩む所だが、これがトラウンシュタイン産のバッファローという珍種を生み出す事になる。

放たれた動物は牛、馬、狐、兎、熊、狼などだが、その中にバッファローもいた。惑星トラウンシュタインの調査期間は五年、途中三年目で調査員達は奇妙な事に気がついた。

バッファローの一部に青く光る固体が見つかったことだった。何らかの病気かと調査員達は考えたのだが詳しく調べていくうちに分かったのは青く光るのは夜
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