2部分:旅立ちその一
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軍と称し盟主にシグルドの子背リス、副盟主にイザークの正統な継承者シャナンを立てイザーク各地でゲリラ戦を続けダナン王の虐政に喘ぐ民衆にとって希望の光となっていった。総数三千に及びその勢力はダナン王も無視出来ない程になっていた。だが現在イザークの王家に伝わる十二神器の一つ聖剣バルムンクがイードにあると聞いたシャナンがそこへ発ち参謀役であるオイフェが騎兵部隊と共にシレジアの同志達の下へ行っており残っているのは二千程の新兵ばかりであった。そこへイザークのハロルド将軍率いる一万五千の兵が進軍していた。
古い城へ一人の若者が駆け込んで来る。灰色のズボンに黒いブーツ、薄黄色の上着に皮の鎧を着け腰に一本、背にも一本剣を持っている。とりわけ背負っている剣の大きさが目につく。体格はやや細身だが長身で引き締まっている。黒い髪と深紫の瞳を持ち何処か親しみ易い印象を与える。若者は城門もくぐり抜け城内の中心にある建物に入った。建物の中に入ると立ち止まりハァハァと肩で息をしている。そこへ一人の少女が声をかけた。
「どうしたのよ、スカサハ兄さん」
若者を兄と呼んだ少女は紫のスリットが入った丈の長いワンピースに黒いぴしっとしたズボンとブーツを身に着け腰に二振りの剣を下げていた。小柄で黒く短めの髪と兄と同じ深紫の瞳を持ち整ってはいるが一目見ただけで気が強いことが解かる顔立ちをしていた。
「大変だラクチェ、イザーク軍がここへ来るんだ!」
「ふうん、じゃあ戦いましょう」
「簡単に言ってくれるな、シャナン様もオイフェさんもおられないんだぞ」
頭越しに兄に言われた妹は反撃に出た。
「だからって何にもしないでやられちゃうの!?一体何の為の解放軍よ!」
「そ、それは・・・」
妹の逆襲に兄はたじたじとなった。
「あの時のこと忘れたの!?イザークの親衛隊に村が襲われて皆殺しにされかけて・・・・・・。あたしの友達もたくさん殺されたわ。もしシャナン様が来てくれなかったらあたしだって・・・・・・。あたしもう我慢出来ない!今こそあいつ等全員叩き斬ってやる!」
ラクチェがスカサハに喰いかからんばかりに怒鳴っていると二階から四人の男女が現われた。
「ラクチェ、いい事言うじゃない。私は賛成よ」
白いズボンに青のシャツ、その上に皮の鎧を着けた短い黒髪と髪と同じ色の瞳を持つ少女が手摺りのもたれかかりながら言った。
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