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Fate/PhantasmClrown
Act-0
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 彼のこの世における主たるマスター。そして、目の前のセイバー及びそのマスターと、共有している感動ではない。

 故に。

”ランサー、帰投しろ。これ以上の戦闘は危険だ。場合によっては令呪も使うぞ”
”セイバー、聴こえていますか。これ以上、そのランサーと戦うのは無謀です。退却してください”

「――フン」
「……」

 お互いのマスターからの念話が届いたのはほぼ同時。武器を引くのもほぼ同時。

 そこでランサーはアーチャーが、既に戦況から手を引いたことに気が付いた。強敵の不在。加えて、目の前の騎士との一騎打ちの中断。少々度し難い。
 ランサーは少しだけ不服そうに口角を曲げると、セイバーを見据えて言い放った。

「此度の聖杯戦争――再び貴様と逢い見え、そして我が槍を喰らわせてやる。それが貴様の最期であると、たった今決まったが故に――首を洗って待っていろ」

 聞く者が聞けば負け惜しみ、あるいは、果たされ得ぬ再戦への伏線と見えるだろう。
 だがランサーは、そのつもりはない。運命は決まっている。だが未来は分からない。そして未来は、いかようにも変わる、と。
 ランサーはそれを知っているからだ。

「さらばだ、『騎士王』……アーサー・ペンドラゴン」

 金色の粒子と共に、霊体化してその場を後にするランサー。

 後に残されたのは、闖入者たるセイバーただ一人。

 
 直後彼は、その手から黄金の剣を取り落し――――
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